第46話 結界!
「できるけど、面倒くさい」
村を覆う結界を魔道具で作れないかと相談をしたらエーソンさんにそのように言われてしまった。
今日は彼女は服をきてくれていた。
シルキーさんが着せてくれているらしい。
そんなシルキーさんに背負われながら、彼女は今日もダラダラしている。
僕はお手伝いしますのでそこをなんとかお願いしますと、頼み込む。
エーソンさんはしばらくだるそうに考えた後に、じゃあ服を着ないことよお風呂に入らないことを許してくれたらいいよ、と交渉を持ちかけてきた。
なんだその交渉!
そんなにお風呂に入るのと服を着るのが嫌いなんですか!と思わず叫んでしまう。
だが、村の安全と引き換えとならば仕方が無い。
彼女の要求を飲むしかなかった。
要求を飲んだらイーソンさんはだらけながらも、満足げに製作を請け負ってくれた。
もちろん彼女の移動や資材の運搬はこちら持ちだけど。
ドワーフさんにも応援にきてもらい、僕とシルキーさんと、ドワーフさんの三人体勢で彼女の助手をつとめる。
するとエーソンさんはあっという間に、その装置とやらを作ってしまった。
・・・本当に、やる気になれば、すごいのに。
エーソンさんが作ってくれた魔道具は認識阻害を持つモノで、置くと村全体を半球状に覆ってくれるらしい。
効果範囲の外からは完全に森にしかみえず、入った瞬間に村が見えるようになるそうだ。
装置は賢者の石の魔力供給を受けて起動するし、機械だから24時間稼働させても問題なし。
そして常に2台置いておけばもし片方が故障してもすぐに対応できるだろうとのことだった。
想像以上の出来だ。
やはりエーソンさんに頼んでよかったと思った。
そして肝心の彼女は僕の反応をみて満足したのか、じゃあ取引だからと、服を脱ぎはじめる。
そしてからだにテープを貼って、これでよし、とまたダラダラし始めるのであった。
シルキーはそんなエーソンさんの態度をみて、すぐに服を着させようとするが、僕はそれをとめる。
そう言う取引だから。
ごめん、ごめんてば。
でもこうするしかないんだよ。
だからシルキーさん、落ち着いて。
あれが彼女の好みなのだ。
目をつぶって上げて欲しい。
いや、僕も納得してないから。
でも、しかたないんだよお。
ちなみにドワーフさんはエーソンさんが脱ぎ始めた途端に逃げていった。
「やっぱり、これが、楽」
そんな僕たちの葛藤も知らずにエーソンさんはダラダラを続ける。
本当にとんでもない人だ。
良い面でも、悪い面でも。
「ねえ、タクマ。トイレ。背負って」
・・・全裸のあなたをですか?
しかもトイレまで?
うん。助けてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます