第20話 ラナちゃんの手料理と充実した生活

「ぎゃ!増えてる!」



サラさんがワームくんを見て驚いていた。



そして胸に手をあてて、ここではこれが常識、

常識なのと唱えていた。



ついでに手に入れたばかりの鉱物達を見せると

本当にギャフン!という声を上げて驚いてくれた。



サラさんは反応が大きくて見ていて面白いと思った。



そしてサラさんの次はラナちゃんがワームくんを見た。

ラナゃんはワームくんを見た途端に、おお!と顔を輝かせ、

一目散に彼の背中に登っていった。



「すごいすごい!タクマさま!この子はなんていうの!」



といいながらワームくんの背中で遊んでいる。

ちよっとしたアトラクションだね。

ワームくんも喜んでもらえて嬉しそうな顔をしている。



顔、ないけど。



それにしても2人でここまで反応が違うものなのかと思う。

まあ、どちらも恐怖を抱いているわけではないからいいのだけどね。



お昼になり、ラナちゃんがつくってくれたゴハンを食べる。



町で買ってきた食事や調味料が

使われていて、とてもおいしかった。



特に、お肉はやばい。



焼いただけでも十分おいしかったが、

やはり調味料ありは別格だった。



ラナちゃんの焼き加減も上手で最高だ。

お店で出せば繁盛間違いなしだと思った。



「えへへへへ!よろこんでもらえてよかったです!

頑張った甲斐がありました!」



料理の感想をいうと、ラナちゃんは照れてくれた。

ラナちゃんの手にはいっぱい傷ができていた。



多分だけど、たくさん料理の練習をしていたのだろう。

その気持ちがなによりもうれしかった。



ただ、少し痛そうだったので、すぐにスラを呼んできて、

傷は治してもらう。



傷が治ってもラナちゃんの努力を忘れずに、

感謝しながら食べようと思った。



次の日、本格的に家の建築にとりかかり始めた。



サラさんの魔法のおかげで簡単に木を切り、

木材へと加工することができる。



誰も家など建てたことがないため、かなり苦戦はしたが

町で買った資材もつかってなんとかそれっぽいものができた。



これでもう夜の隙間風に凍えなくてすむようになる。

衣、食、住の3つがやっと揃ったのだ。



久しぶりに町全体を見渡してみる。



最初は食料もなくて、家もボロボロで、

ゴブリンに怯えていた村だった。



でも今はおいしいご飯に、しっかりした家と、衣服。

お風呂に、外敵から守る堀と柵まである。



前世の暮らしとくらべたらまだまだ原始的だけど、

笑顔が増えて、良い村になってきたと思う。



「タクマさま!夕食ですよ!食べましょう!」



「ほら、ボーとしてないで、歩け、歩け」



ラナちゃんとサラさんが夕食が出来たと

僕を呼びに来てくれる。



それだけじゃない。



フェル、スラ、トレントさん、ゴーレムくん、ワームくんもいる。



うん。



よくなったのは、村だけじゃないな、とも思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る