第6話 食料難、終了のお知らせ

「なななな!なんですかな!」



村長は突如目の前に表れキスをしてきた

幹におじいさんの顔をもつ木、トレントに驚いている。



「すみません。僕の使い魔です。

驚かせてしまいましたね」



誤解を解くように、村長にしっかり

伝えておく。



いや、まじで。

本当にごめんなさい。



そして頭の中で、光合成をして

木の実を作ってもらえるかい?

とトレントにお願いをした。



するとトレントはわかったというように

枝をワシャワシャとと揺らし、太陽に向けて枝を広げる。



そして見る見ると枝に大きな木のみを

生やしはじめてくれた。



僕はその実をとってかじってみる。

みずみずしくて、甘くて、とってもおいしかった。



これで栄養もあるらしい。

うん、いいぞ、これは。



いくつか実をとって、村長にも渡す。



「どうぞ。食べてみてください」



「え?いいのですかな?では、し、失礼します」



村長はゴクリとつばを飲み込みながら、

木の実をかじる。そしてすぐに満面の笑みを

浮かべるのであった。



「おお!これは!」



村長が子どものようにはしゃぐ。



「たくさんありますので、村の皆さんも

呼んであげてください」



そういうと今度は村長の耳がピコピコと

ゆれた。



あ、それ。

ラナちゃんもやっていたやつだ。

ここの村の人共通の奴なのかな。



「旅人様!ありがとう、ありがとうございます!

これで、これでこの村は!」



村長は僕の手を握りながら、

泣き始めてしまった。



きっとケガ人のことや、

食料の事で、不安がいっぱいであったのだろう。



喜んでもらえて良かったと思った。



「おいしい!おいしい!」



さっそく、村の皆さんを

呼んできてもらって、トレントの木の実

を食べてもらう。



みんなお腹が空いているからか、

ものすごい食いつきようだった。



特にラナちゃんを筆頭に子ども達の

食欲はすごい。



食べ盛りだからね。

いっぱいだべなと思いながら、

トレントには木の実の増産をお願いした。



フェンとスラにも木の実を渡す。

2人は木の実をおいしそうにかじってくれている。



こんな一瞬でみんなを笑顔にしてしまうなんて、

トレントは、食事はすばらしいんだなと思いました。



「旅人さん。本当にありがとう!」



しばらくするとラナちゃんが僕の元に

きてそう言ってくれた。



喉をゴロゴロと鳴らしながら

体にすり寄ってくる。



え?なにこれ!?



そしてそれをみたフェルとスラも

負けじと僕にすり寄ってくる。



しかも、トレントもだ。

枝を器用に伸ばして、僕の体に

巻き付ついてくる。



ちょ!



やめてえ。



くすぐったいから。

くすぐっいからあああ!

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