第7話 玉座の間に。

アンデッドとゴーストをガト、ルタ、アルが倒してくれたお陰で、職業レベルがカンストした。

なのでさっそく転職だ。


『選択可能な職業:呪術師、見習い呪言士、見習い呪魔術士』


職業は増えてないか……。

呪術師は『士』から『師』に変わってるから純粋に呪術士の上位職だろう。

こうなったら先に、呪術師系を極めてから他の職業に就いた方が良いかな?


他の職業も気になるけど、呪術を極めたらガトやルタのような呪術が、俺も出来るかもしれないしな。


という訳で『呪術師』に転職。


『呪術師に転職しました。【魔力制御】【呪制御】を取得しました。【呪術】と【解呪】のレベルが上がりました。【呪術】が条件を満たしたので【呪術】から【呪術式】へと進化しました』


名前;シャルド

種族:呪人

年齢:0

職業:呪術師_Lv1

職歴:【見習い呪術士】【呪術士】

ユニークスキル:【呪属性魔法】

スキル:呪術式_Lv1

    解呪_Lv6

    魔力制御_Lv1

    呪制御_Lv1

耐性::【呪い吸収】

称号:【神呪を克服した者】


頭の中に響く声を聞きながらステータスを確認すると【呪術】が【呪術式】に変わっていたのでさっそく意識を集中させると感覚で、なんとなく理解する。


【呪術】は文字や血、物を使って呪いを掛けるが【呪術式】は、文字を組み合わせ、より複雑な効果のある呪いを作る事が可能っぽい。

例えば『触れると指定した者を襲う』とかだな。

この場合、もし呪物を使うなら行動をイメージした文章を刻めばそうなる。


呪物を使わず呪いを掛ける場合、魔力で直接対象に式を刻む事で呪いを掛ける事が出来るが、対象が抵抗すれば呪いを解かれる可能性が高い。

なので基本は、呪物を使う方が呪いを掛けられる確率は高くなるようだ。


ここで魔力制御のスキルをゲット出来たのは良いね。

これで火や水の魔術が使えるようになるかも?

それより呪制御だ。

これは……あぁ、呪物を制御する事が出来るのか。



「アンデッドはもう居ないかな?」


そう聞くと城の中にまだ居るとの事。

なら今度は、俺の呪術を試そうと思い、アンデッドが居る場所まで案内してもらう。


ガトの肩に座って薄暗い通路を進んで行くと、玉座の間だった広い部屋の前に到着し、中を覗くと玉座の間には、鎧を着た大量のスケルトンが並んでおり、玉座には豪華な服を着た骸骨が座っていた。


薄暗い玉座の間でこんな風景を見たら普通は、恐怖で逃げ出すだろう。

しかし俺は、今までの人生経験のお陰かそれとも呪人の影響か、まったく恐怖を感じない。

むしろ、自分の呪術を試すのに丁度良いと思える。


ガトの肩に座ったまま玉座の間に入ると俺は、紙の切れ端に書いた呪術を試そうと『火』の紙を指で挟み、少し魔力を流すとピッとカードを投げるように飛ばすと紙は、一番手前のスケルトンの背中にピタッとくっついた。


次の瞬間、紙が燃えて火が大きくなりスケルトンを包む、燃えたスケルトンと他のスケルトンがザッとこちらを向く。


まだまだ威力が足らないな。

もっと魔力を込めて作らないと使い物にならない。


ちなみに、紙を狙った場所に飛ばせたのは【呪制御】スキルのお陰だ。

呪物である紙を制御して飛ばした。

これならお札っぽくすれば、もっとカッコいいかも。

まあ、0歳児なので見た目は子供の遊びに見えるだろうけど。



スケルトン達がこちらに迫り始めたので続けて『風』の紙を飛ばす。

するとスケルトンの頭にピタッと張り付いた瞬間、紙の周りに風が発生して見えない細かい刃に切られるように、頭蓋骨の周囲を風が回り始め、頭蓋骨に小さな傷を付けていく。


これも威力が足らない。

次は土だ。


紙を同じように飛ばし、スケルトンの頭にピタッと張り付くと次の瞬間、紙が石を纏いだすと紙が張り付いた反対側から土の棘が飛び出し、スケルトンはその場で崩れる。

これは紙から土の棘が一瞬で伸び、頭蓋骨を貫通したのだ。

土の紙は使えるな。


その後、続けて他の紙も飛ばし、効果を確かめた。

『雷』は、張り付いた瞬間、紙が放電したがスケルトンなのでまったく効かない。

生物なら麻痺させて動きを止める事は出来るだろう。


『氷』は、張り付いた瞬間、紙の周囲を凍り付かせたが、これも威力が弱い。

だが、魔力を増やせばかなり使える。

最後に『光』だがこれは、紙が張り付いた瞬間、紙が光を発して張り付いたスケルトンと周囲のスケルトンを塵に変えた。

流石『光』だね。


作る時に一応『浄化』をイメージしたからだろう。

アンデッドやゴースト系に『光』の紙は有効だと分かったところで、アルとルタがスケルトンを一掃。

アルの目から出るビームは、アンデッドには滅茶苦茶効くな。


ガトの肩に座ってる俺とガトに近づいて来たスケルトンは、もれなくガトの衝撃波によって粉々に弾かれる。

ここは俺の特等席になりそうだ。


まあ、街に入る時は、真っ黒なガトを連れていけないけど。

絶対魔物と思われるだろうし。



大量に居たスケルトンを全て倒すと、玉座に座っていたスケルトンが話し掛けてきた。


『お前達は何者だ?』

「喋った!?」

『我が喋るのがそんなに驚く事か?』

「まあ、スケルトンだからな」

『……ククク、クハハハハハハ!! 我をスケルトンと勘違いするとはな』

「じゃあ、なに?」

『我はカースロード、呪いの王である』

「呪いの王?」

『気付けばこうなっていたがたった1つハッキリしてる事は、裏切り者を殺す事』

「裏切り者とは?」


ガトに乗ったまま皆で玉座に近付き、俺がそう聞くとカースロードは、少し俯くと答える。


『それが分からん、裏切り者に対しての恨みと憎しみはあるが、我を裏切った者がどこの誰なのか、何も思い出せん』

「あぁ、裏切り者に対しての憎しみと恨みだけでそうなったのか」


肝心な部分が無いじゃん。

悪霊と変わらないな。


『それにしてもおぬしを見ていると、何やら落ち着くのはなぜじゃ?』

「ん~、たぶん俺が、呪人だからだと思う」

『呪人? なんじゃそれは?』


話し方が急に緩くなったな。

これも俺の種族特性の影響か?


「さあ? 俺にも分からん」

『ふむ、呪人……ワシも聞いた事がないの。それにしてもおぬしのような幼子が、こんな所に来てはならんぞ? 親はどうした? メイドはおるようじゃが、その黒いのはなんじゃ? しかも目玉まで引き連れておるとは、おぬしも魔物か?』

「親は居ない、この3人は俺の仲間? 家族? みたいなもんかな。ちなみに魔物じゃないから」


呪い生物って魔物になるのかな?

いや、魔物っていうより呪いそのモノだし、魔物とは違う気がする。

それにしても……。


「あんたの配下? であるスケルトンを倒したのに、怒らないのかな?」

『ん? あぁ、あれはワシの魔力で生み出した魔物じゃからいくらでも出せるぞ』


死霊術ってやつかな?

何回か前の前世にも死霊術師は居たけど、この世界にも居るのかも?

ってか呪いの王なのに死霊術が使えるのか……俺も使える?

今度試そう。



『しかし、おぬしら何ともないのか?』


俺は首を傾げる。

何ともないとはどういう意味だろう?

周囲をキョロキョロ見回すが、特に変わった事は無い。


『この城は、誰も入れんようにワシの魔力で包んでおるんじゃ、近づくだけで普通なら精神が壊れてもおかしくはないんじゃが、まったく魔力の影響を受けた様子が無いのう』

「特に何も無いね……ってか、呪いの王なのに呪いで包まないんだ」

『ん? じゃから魔力で包んでおるんじゃが?』

「ん?」

『ん?』


互いに首を傾げる。

何やら話しが噛み合わない。

魔力と呪いは別物じゃないの?


「呪いと魔力って同じもの?」

『ああ、おぬし、生まれたばかりで何も知らぬようじゃな。よし、ワシが特別に教えてやろう。その前に、隣の部屋に場所を移すかの、そこでじっくり教えてやるぞい』


そう言うと呪いの王の姿がフッと消え、謁見の間は静かになる。

もしかしてもう移動したの?

まさか転移ってやつ?

この世界の先輩にいろいろ教えてもらおう。


そう思い俺達は、謁見の間の隣にある部屋へと移動を始めるのだった。

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