第32話 蒼天の指輪 *ステータス記載
「うわー!綺麗な指輪!」
宝箱には海のように深い青色の指輪が入っていた。それを三人でマジマジと眺める。
「この指輪の名前は蒼天の指輪。効果はなんだと思う?」
ネイビスが二人に訊くと二人とも手を挙げて答えた。
「私のゴールドバングルがHPプラス150だから、MPプラス150とか?」
「私はINTプラス50とかかな?」
「二人とも不正解。ちょっと惜しいな。正解はMPプラス75とINTプラス25。あともう一つ効果があるんだ」
「えー! もう一つあるの? うーん。蒼魔法耐性とか?」
「凍傷無効かしら?」
「ううん。その二つも確かにありそうだが、正解は『プチフリーズ』だ」
ネイビスの答えに二人は首を傾げる。
「『プチフリーズ』ってどういう効果なの?」
「そのままだ」
「もしかしてネイビス君! 『プチフリーズ』が使えるようになるの?」
「大正解だ! 正解したビエラにはこの指輪を贈呈しよう」
ネイビスはビエラの右手人差し指に嵌っている銅の指輪を外して同じところに蒼天の指輪を嵌めようとする。そこでビエラがネイビスに言った。
「ネイビス君! 嵌めるのは左手の薬指にして欲しいな」
「いいけどどうしてだ?」
「その……。恋人だから」
「そういうことか。いいぞ」
ネイビスはビエラの左手の薬指に蒼天の指輪を嵌める。それをイリスが羨ましそうに見ていた。それに気づいたビエラがネイビスの持つ銅の指輪を指差して言う。
「ネイビス君。その銅の指輪、よかったらイリスちゃんの左手の薬指に付けてあげてよ」
「私は別にいいわよ」
「いいからいいから」
この世界ではアクセサリーは先につけた二つが効果を持つようになっているらしく、今イリスに銅の指輪を付けてもシルバーバングルとゴールドバングルの効果が優先して現れる。
「イリス、手出して」
「分かったわ」
イリスの左手の薬指にネイビスは銅の指輪を嵌める。
「あなたもその指輪、薬指に嵌めなさいよ」
「ああ。ロコルリングな」
「私が付けてあげるから」
イリスはロコルリングをネイビスの左手の薬指に付け替える。
「これでみんなお揃いだね」
ビエラが蒼天の指輪を見ながら嬉しそうにそう言った。
「ねぇ、二人とも! スキルのところに『プチフリーズ』が増えてるよ!」
「どれどれ?」
「ビエラ。ステータス見せて」
イリスとネイビスは嬉々としてビエラのステータスを覗き込む。
名前:ビエラ
年齢:17
性別:女
職業:僧侶Lv.47
HP:444/444
MP:183/588+105
STR:148
VIT:148
INT:296+25
RES:344
AGI:148
DEX:148
LUK:196
スキル:『プチヒール』『プチキュア』『プチリジェネ』『プチホーリー』『ヒール』『キュア』『プチフリーズ』
アクセサリー:『魔晶石のネックレス』『蒼天の指輪』
「本当ね。それに結構レベル上がったわね」
「そうだね! あと少しで第三スキル覚えられるよ!」
「俺気づいたら50行ってた。今はレベル55」
「魔法使いの第三スキルは何なの?」
今度はネイビスのステータスを三人で覗く。
名前:ネイビス
年齢:17
性別:男
職業:魔法使いLv.55(経験値二倍)
HP:798/768+30
MP:516/936
STR:256+10
VIT:256
INT:468
RES:412
AGI:256
DEX:312
LUK:256
スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』『ノービスの本気』『プチマジックアロー』『プチマジックウォール』『プチマジックウェーブ』『プチマジックミサイル』『マジックアロー』『マジックウォール』『マジックウェーブ』
アクセサリー:『ミスリルバングル』『ロコルリング』
「覚えたのは『マジックウェーブ』だな」
「確か『プチマジックウェーブ』は範囲攻撃だったわよね。『マジックウェーブ』はその上位互換?」
「そうだ。だがフレンドリーファイアーするみたいだから使い所が限られてくるな」
「ふれんどりーふぁいあー?」
ネイビスの言葉に聞き覚えがなかったビエラが聞き返した。
「要するに仲間を攻撃してしまうってことだな」
「それは嫌だね」
「イリスのステータスも見せてよ」
「いいわよ」
名前:イリス
年齢:17
性別:女
職業:剣士Lv.47
HP:738/588+150
MP:274/444
STR:344
VIT:296+50
INT:148
RES:148
AGI:196
DEX:148
LUK:148
スキル:『スラッシュ』『二連切り』『蟲斬り』『剣士見習いの本気』『一刀両断』『三連切り』
アクセサリー:『シルバーバングル』『ゴールドバングル』
「順調にみんな強くなってるな」
「そうね。間違いなく人類最高峰ね。これならオリエンス世界大会で優勝できるかもしれないわね」
「オリエンス世界大会?」
今度はネイビスが聞きなれない言葉に首を傾げた。
「あなたもしかしてオリエンス世界大会を知らないの?」
「初耳だな。何だそれは?」
イリスは久しぶりに呆れ顔を作り、淡々と説明を始めた。
「いい? 先ずこの大陸は古くからオリエンスって呼ばれているわよね?」
「聞いたことあるな」
「この大陸には大昔三つの国があったの。セネリア。ガルドリア。エルドリア。昔はこの三国で争っていたそうよ。だけどいつしか北大陸に魔王が現れて、それに対抗するように三つの国はオリエンス連合を発足するの。その発足した年にオリエンス世界大会が開催され始めたの。当時は世界から優秀な戦力を集めて魔王軍に対抗することが目的だったけど、ここ最近はエンターテイメント色が強いわ」
「そんなものがあったのか。今はその三国はどうなってるんだっけ?」
「オリエンス王国に統一されたのよ。あなた自分のいる国のことくらいちゃんと知っておきなさい」
「反論の余地もありません」
ネイビスは己の無知を恥じ、素直に頭を下げた。
「ちなみに補足しておくと、この国の初代国王が第一回オリエンス世界大会の総合部門の優勝者であるアーノルド・オリエンスよ。それから代々何千年もオリエンス家が国王を続けているの」
「今年は確か第1170回目だったよね?」
「1170って。千年も続いてるのか?」
「もっとよ。オリエンス世界大会は四年に一度だけだから約4700年は続いてるわね。とは言っても最初の方の記録は今じゃほとんど残っていないみたいだけど」
「有名なのはやっぱり初代総合優勝したアーノルド・オリエンスだよね。その後も国王になるまでの第4回までは勝ち続けたらしいよ」
「へー。それは凄いな」
「ネイビスも出なよ! ネイビスなら絶対優勝できると思うわ」
「私もそう思う!」
「ありがとな。そう言う二人は出るのか?」
ネイビスの問いにビエラが苦笑いをした。
「僧侶系の職業は攻撃スキルがないから試合自体がないんだよね。それに私は人と戦うのはちょっと嫌かな」
「私は剣士部門と総合部門に出るわ! 子供の頃からの夢だったの!」
「イリスが出るなら俺も出ようかな。部門って全部でいくつあるんだ?」
「剣士部門、斧使い部門、槍使い部門、拳闘士部門、弓使い部門、魔法使い部門、総合部門の七つね」
「それなら俺は魔法使い部門と総合部門に出よっかな」
「ならライバルね。確か四ヶ月後くらいに開催だったはずよ」
「楽しみがまた増えたな」
オリエンス世界大会なんてものはゲーム『ランダム勇者』にはなかった。まだ知らぬイベントにネイビスは思いを馳せるのだった。
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