第22話 ノービス脱却! *ステータス記載

 Cランクダンジョン『トカゲの巣窟』の別名は『トカゲの尻尾切りダンジョン』と呼ばれている。その名の所以は出てくるリザードがプレーヤーに敵わないと判断すると自分の尻尾を切って逃げていくからだ。それだとレベル上げどころの話ではないと思うかもしれないが、実はリザードは尻尾とともに経験値も置いていくのだ。それ故に戦闘時間が短く済み、結果として周回効率が良くなる。流石にボスのドスリザードは逃げ出さないが、ある程度レベルの上がった三人の敵ではなかった。

 ネイビスのパーティーがこのCランクダンジョン『トカゲの巣窟』に着いてから一ヶ月の時が経とうとした頃、ついにその時は来た。


「ついに、レベル99だぁ!」

「おめでとうネイビス!」

「おめでとう!」


 ネイビスはレベル99になったのだ。ネイビスのステータスの下に転職可能な職業が表示されている。


 名前:ネイビス

 年齢:17

 性別:男

 職業:ノービスLv.99(経験値二倍)

 HP:330/300+30

 MP:300/300

 STR:100+10

 VIT:100

 INT:100

 RES:100

 AGI:100

 DEX:100

 LUK:100

 スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』『ノービスの本気』

 アクセサリー:『ミスリルバングル』『ロコルリング』

 転職可能職業:剣士見習いLv.0、斧使い見習いLv.0、槍使い見習Lv.0、拳闘士見習いLv.0、弓使い見習いLv.0、魔法使い見習いLv.0、僧侶見習いLv.0


「これでもレベル34の勇者には負けるんだよなぁ」

「ねね。第四スキルの『ノービスの本気』ってどんな効果なの?」


 イリスがネイビスのステータスを覗きながら尋ねると、ネイビスは不敵な笑みを浮かべた。


「効いて驚け! なんとあの勇者の第一スキル『ブレイブハート』と全く同じ効果の一分間ステータス二倍だ! 消費MPは300だがな。ちなみに『ブレイブハート』の消費MPは100だから、完全に下位互換だな」

「それはドンマイ!」


 ビエラがネイビスを励ました。


「ビエラありがとう! まぁ実際、このスキルはかなり使えるからな。損はないと思いたい」

「で、どれに転職するのよ?」

「ああ。それは二人とパーティーを組んだ日からもう決めているぞ」

「ネイビス君、何に転職するの?」


 その後少し間を置いてネイビスは宣言する。


「俺は魔法使い見習いに転職するぞ!」


 イリスが近距離、ビエラが補助なのでネイビスには遠距離の弓系統か魔法系統の二つの選択肢があった。だが、「せっかくゲームの世界に転生したんだから魔法使って見たいじゃん?」という欲望が勝り魔法系統に進むことにしたのだった。

 ネイビスは転職可能職業の魔法使い見習いを選ぶ。


『魔法使い見習いLv.0に転職しますか? はい/いいえ』


 ネイビスは迷うことなく『はい』を選んだ。するとネイビスの体が光に包まれるということもなく、転職に成功してしまった。


 名前:ネイビス

 年齢:17

 性別:男

 職業:魔法使い見習いLv.0(経験値二倍)

 HP:333/303+30

 MP:303/303

 STR:101+10

 VIT:101

 INT:102

 RES:102

 AGI:101

 DEX:101

 LUK:101

 スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』『ノービスの本気』

 アクセサリー:『ミスリルバングル』『ロコルリング』


 魔法使い見習いのレベルアップ時のステータス上昇値は僧侶見習いと同じだ。


 魔法使い見習い

 HP:3

 MP:3

 STR:1

 VIT:1

 INT:2

 RES:2

 AGI:1

 DEX:1

 LUK:1


 転職後のネイビスのステータスをイリスとビエラは見る。


「本当だわ! 転職できてる!」

「ネイビス君すごい!」

「だから言っただろ! ノービスが最強へと至る唯一の職業だって。二人も直ぐにレベル99になって下級職に転職できるようになるぞ」


 この時イリスとビエラはレベル79になっていた。


 名前:イリス

 年齢:17

 性別:女

 職業:剣士見習いLv.79

 HP:390/240+150

 MP:240/240

 STR:160

 VIT:160+50

 INT:80

 RES:80

 AGI:80

 DEX:80

 LUK:80

 スキル:『スラッシュ』『二連斬り』『蟲斬り』

 アクセサリー:『シルバーバングル』『ゴールドバングル』


 名前:ビエラ

 年齢:17

 性別:女

 職業:僧侶見習いLv.79

 HP:240/240

 MP:270/240+30

 STR:80

 VIT:80

 INT:160+15

 RES:160

 AGI:80

 DEX:80

 LUK:80

 スキル:『プチヒール』『プチキュア』『プチリジェネ』

 アクセサリー:『魔晶石のネックレス』『銅の指輪』


「後もう一ヶ月この『トカゲの巣窟』を周回すれば晴れてみんな脱見習い職だな!」

「うぅ。もう一ヶ月か……。ビエラファイト!」


 ビエラが自分を叱咤激励する。


「そうね。それに第四スキルも覚えたいものね」

「私『プチホーリー』覚えたいよー!」

「そうだよな。それじゃあ午後も周回するか!」

「りょーかい!」

「行こう!」


 こうして三人はまたCランクダンジョン『トカゲの巣窟』のゲートへと消えていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る