第20話 レベリング その2 *ステータス記載
『月下の剣』でミスリルソードと毒牙を買った日の翌朝、ネイビス達は次の町ジエンではなく、その西に広がる森に向けて歩いていた。
「大きな樹ね」
イリスがそう呟きながら指差すのは三人が向かっている森の中にある巨大な樹だった。それは他の木の十倍ほどの大きさがあり、遠くから見てもその存在は一目瞭然だ。
「あの樹はな、世界樹って言って世界にあの一本しか無いんだ」
「へー。世界樹ね」
「お目当てのDランクダンジョンはあの世界樹の近くにあるんだ。だから先ずは世界樹を目指そう」
「りょーかい」
「うん!」
森にたどり着くと三人は昼休憩をして中に入って行った。森には狼の魔物が出てくる。名前はレッサーウルフ。推奨レベルは20から25で、主に単体で襲ってくるためそこまで危険はない。ネイビスがノービスの第三スキル『サーチ』で敵を捕捉して、ミスリルソードで攻撃力の増したイリスが先陣を切る。
「あった。これがDランクダンジョン『狼の宴』のゲートだ」
三人はDランクダンジョン『狼の宴』のゲートにたどり着いた。『狼の宴』は名前の通り狼の魔物が出てくるダンジョンだ。一階層から三階層はウルフ。四、五階層はレッドウルフ。六、七階層はブルーウルフ。八、九階層はグリーンウルフ。十階層はボス部屋で、一際大きいキングウルフが単体で出てくる。
魔法は使ってこないが、色持ちはそれぞれステータスに特徴がある。レッドウルフは攻撃力が、ブルーウルフは防御力が、グリーンウルフは魔法防御力がそれぞれ高い。キングウルフはその全てが高くなっている。
ネイビスが『狼の宴』についてテントを建てながら二人に説明する。説明が一通り終わるとイリスがネイビスに質問をした。
「目標は何レベルなの?」
「イリスとビエラがレベル50になるまでこの『狼の宴』を周回する予定だ。イリスが剣士見習いの第三スキル『蟲斬り』を覚えるからな。そうしたら次のCランクダンジョンに向かう予定だ」
「分かったわ」
「ネイビス君。僧侶見習いの第三スキルって何かわかる?」
「『プチリジェネ』だな」
「ぷちりじぇね?」
「知らないのか?」
「え、うん」
「私も初めて聞くわ」
ネイビスはこの世界でリジェネがまだ発見されていないことに気づく。ただでさえ人類最高到達レベルが67なのだ。戦闘に向かないヒーラーがレベル50になることは今まで無かったのだろう。確かにヒールとキュアの二つがあれば大抵の治療はできる。だが持続回復のリジェネは強い敵と戦う際にはかなり役立つ。
「いいか。プチリジェネの効果は一分間のHP持続回復だ」
「持続回復ってことは、ちょっとずつHPが回復するってこと?」
「そうだ。これがあるのと無いのとでは戦闘の安定感が変わる。特に強敵と戦う際は戦闘直前に『プチリジェネ』をかければそれだけで死ぬ確率が下がる」
「へぇー。『プチリジェネ』かぁ。早く覚えたいなぁ」
「なに。直ぐに覚えられるさ」
「どうせ覚えるまでひたすら周回するんでしょ?」
「当たりだ」
三人が森を出たのはそれから一週間後のことだった。次の町ジエンの宿屋にて三人はステータスを確認し合いニマニマとしていた。
名前:ネイビス
年齢:17
性別:男
職業:ノービスLv.61(経験値二倍)
HP:218/186+30
MP:186/186
STR:62+10
VIT:62
INT:62
RES:62
AGI:62
DEX:62
LUK:62
スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』
アクセサリー:『ミスリルバングル』『ロコルリング』
名前:イリス
年齢:17
性別:女
職業:剣士見習いLv.50
HP:303/153+150
MP:153/153
STR:102
VIT:102+50
INT:51
RES:51
AGI:51
DEX:51
LUK:51
スキル:『スラッシュ』『二連斬り』『蟲斬り』
アクセサリー:『シルバーバングル』『ゴールドバングル』
名前:ビエラ
年齢:17
性別:女
職業:僧侶見習いLv.50
HP:153/153
MP:183/153+30
STR:51
VIT:51
INT:102+15
RES:102
AGI:51
DEX:51
LUK:51
スキル:『プチヒール』『プチキュア』『プチリジェネ』
アクセサリー:『魔晶石のネックレス』『銅の指輪』
「ネイビス、改めてSランクおめでとう!」
「おめでとう! ネイビス君」
「二人ともありがとう。なんか嬉しいわ。二人もAランクおめでとう!」
「ありがとう、ネイビス君!」
「ウルフも全部で白金貨8枚になったし、私達、今、結構いい波に乗ってるんじゃないかしら」
「うんうん」
三人はジエンの街に着くと直ぐに冒険者ギルドでマギカードの更新をして、隣接していた商業ギルドでダンジョンで得た大量の狼を売っていたのだ。冒険者ギルドでネイビスはSランクを盛大に祝われたが、目立ったり絡まれたりするのが嫌だったので三人は早々に撤退した。
「明日はいよいよCランクダンジョンだな」
「Cランクダンジョンの名前はなんて言うの?」
ビエラが首を傾げてネイビスに質問する。
「『トカゲの巣窟』って言うんだが、俺はこのダンジョン以上に経験値効率の良いダンジョンはないと思ってる。まぁ、明日そこら辺の事情を説明しながらダンジョンのあるシルル湿地に向かうことにするか!」
「りょーかい!」
「うん! 分かった!」
その時部屋のドアがノックされた。
「誰だろう? 宿の人かな?」
「そうだな。この町に知り合いとかいないし」
ネイビスが代表してドアを開けた。するとそこにはローブを着た二人の男性と一人の女性が立っていた。
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