第17話 レベリング その1 *ステータス記載
「本当だ! こんなところにダンジョンのゲートがあるなんて!」
「よーし。テント建てるぞ! 当分ここで過ごすことになりそうだからな」
三人はネルト山の頂上から少し下った場所にある洞穴の奥にいた。その洞穴の奥には青白く光り輝くゲートがあり、その前にネイビス達はテントを設営していく。テントが出来上がると三人はテントの中で寝そべり、登山の疲れを癒した。
「ネイビス君。足痛くない? よかったら『プチヒール』かけてあげるよ?」
「『プチヒール』かけるとどうなるんだ?」
「え、疲労が取れるんだよ。知らなかったの?」
ネイビスはまたしても新事実を知った。今回のダンジョン周回でネイビスが一番気にしていたのが疲労問題だった。もし疲労が『プチヒール』で治るのならその問題は綺麗さっぱりなくなる。
「ビエラ、かけてみてくれ」
「分かった。『プチヒール』!」
「おお!」
ネイビスは自身の足の疲れがみるみるうちに消えていくのを感じた。思わず感嘆の声を漏らす。
「足が軽くなった!」
「でしょ? 私も自分にかけよう。『プチヒール』。イリスちゃんはどう?」
「私は平気よ。MPがもったいないから取っておきなさい」
三人は昼食を取り終えるとゲートの前に立って並んだ。三人は最終確認をする。
「出てくるのは羊なのよね?」
「ああ。一階層から三階層まで出てくる羊はタックル以外の攻撃はしてこないから多分楽勝だな。だが『ウサギパラダイス』と一緒で四階層から魔法を使ってくるから注意だな」
「で、十階層のボスが電気使ってくるんでしょ?」
「ああ。電気羊だな。帯電している時に剣で攻撃すると感電するから要注意だ」
「分かったわ。じゃあ行きましょう!」
そうして二週間の時が経った。朝起きて朝食を食べたら直ぐにダンジョンに入り、クリアしたら間髪入れずにビエラの『プチヒール』で疲労を回復して再入場。それを一日中ひたすら繰り返す。夜は近くの湧き水で体を洗い、十時に寝る。このサイクルを続けたら脅威の一日平均13周という記録を叩き出した。
ネイビスはレベル50に、イリスとビエラはレベル42になっていた。ネイビスはノービスの第三スキル『サーチ』を覚え、イリスは剣士見習いの第二スキル『二連切り』を、ビエラは僧侶見習いの第二スキル『プチキュア』をそれぞれ覚えた。
名前:ネイビス
年齢:17
性別:男
職業:ノービスLv.50(経験値二倍)
HP:183/153+30
MP:153/153
STR:51+10
VIT:51
INT:51
RES:51
AGI:51
DEX:51
LUK:51
スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』
アクセサリー:『ミスリルバングル』『ロコルリング』
名前:イリス
年齢:17
性別:女
職業:剣士見習いLv.42
HP:279/129+150
MP:129/129
STR:86
VIT:86+50
INT:43
RES:43
AGI:43
DEX:43
LUK:43
スキル:『スラッシュ』『二連切り』
アクセサリー:『シルバーバングル』『ゴールドバングル』
名前:ビエラ
年齢:17
性別:女
職業:僧侶見習いLv.42
HP:129/129
MP:159/129+30
STR:43
VIT:43
INT:86+15
RES:86
AGI:43
DEX:43
LUK:43
スキル:『プチヒール』『プチキュア』
アクセサリー:『魔晶石のネックレス』『銅の指輪』
「長かったぁ。これでようやく次の町に行けるぞ!」
「ねぇ。私のインベントリの中に羊が全部でだいたい一万匹もいるんですけど!」
「売ったらいくらになるんだろう?」
各々の感想を持ちながら、三人の羊キラーはネルト山を降りて行った。場所はネルトの町の宿屋に移る。
「掲示板によると次の町はハルオンって言うみたいね」
夕飯を食べ終えた三人は一つに繋げたベッドの上で次の町について話し合っていた。
「別名『アクセサリーの都』って言うみたいだよ。世界中の名だたる錬金術師や鍛治職人が集まっているらしい。近くの鉱山で銅や魔晶石が取れるんだとか」
「ビエラはアクセサリーを新調してみても良いかもしれないな」
「そうだね! 何かいいのあるかなぁ」
ビエラは目をキラキラと輝かせて、一体どんなアクセサリーがあるのだろうと想像する。
「私はもっと強い剣が欲しいわね」
「イリスが使ってる剣のATKはどのくらいだ?」
ATKとは武器の攻撃力を指す。今ネイビスが使っているアイアンソードのATKは15だ。これは勇者学院から支給されたもので、『ランダム勇者』での初期装備だ。武器での攻撃の場合、本人のSTRと武器のATKの合計で与えられるダメージが決まる。
「私の剣のATKは20よ。私の家はね、代々剣士の家系なの。これは10才の誕生日の時にもらった剣よ」
「いいのか? 大切な剣なんだろ?」
「大切だからよ。Eランクダンジョン『羊達の悪夢』の周回で刃こぼれしちゃって、これ以上使ったら壊れそうだからインベントリに大切にしまっておきたいのよ」
「そう言うことか」
確かにネイビスの剣も相当ダメージを受けている。ネイビスは自分ももっと強い剣を買おうと決めた。
「とにかく先ずは次の町ハルオンに行くことからだな。この町ネルトとハルオンの間は草原になっているから、乗合馬車が通っている。明日はそれに乗ろうか」
この世界には荷馬車という概念がない。なぜなら誰しもがインベントリで大量のアイテムを持ち運ぶことができるからだ。だが、人を運ぶような馬車は存在している。ネルトとハルオンの間には山や森などの障害物が一切ない。そのため乗合馬車が二つの町を定期的に往復しているのだ。
「私馬車なんて乗ったことない」
「私もだよー」
「実は俺もだ。楽しみだな」
三人はまだ知らぬ馬車に思いを馳せるのだった。
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