はんなり舞妓はん。〜牛乳殺人事件〜

猫野 尻尾

第1話:源氏名は「豆駒」

この話はカクヨムコン短編賞に応募した作品の再編集したものです。

応募作品は、ごく短編で舞妓はんの紹介だけで終わりましたが、

今回は舞妓はんの活躍も書いてみたいと思い再投稿しました。

よかったら読んでやってください。m(_ _)m



僕の名前は「町田 俊介まちだ しゅんすけ」彼女の名前は「京野 駒子きょうの こまこ


僕と彼女は小学生の時から隣同士で幼馴染。

僕のほうが駒子より6歳年上の22歳、大学生。

将来は高校の教師になるために勉強していた。

駒子が高校に入っても同じ高校に勤めて彼女と一緒にいたいって

思っていたからだ、


僕と駒子は、ごく自然にお互いの愛を育んで相思相愛の関係だった。

だからそのまま何事もなく駒子は高校に進学するものと僕は思っていた。


ところが中学二年の京都への就学旅行の時に祇園の「花見小路」を歩いてる

舞妓は〜んの姿を見た駒子は・・・いきなり私、舞妓はんになるって言い出した。


うそ〜・・・ふたりして同じ高校で仲良しこよしするんじゃなかったの?


でも駒子は舞妓はんになるって聞かなかった。

かと言って、僕と別れたいとも言わない。

恋愛も自分の夢も両立させるって駒子は言った・・・。

そこまで決心が固い駒子の夢に僕はやめてとは言えなかった。


だから僕だけそのまま大学を卒業して、駒子は中学を卒業すると舞妓さんになった。


まあ、駒子は可愛い・・・舞妓はんになっても誰にも負けない可愛さと愛嬌が

あるから、きっと売れっ子になるだろう。

それは自信を持って言える。


そして祇園甲部に吉田屋さんって置屋さんがあって駒子はそこの舞妓はん

になった。


駒子の源氏名は「豆駒まめこま


舞妓はんの世界は完全に女社会。

ちなみに恋愛厳禁。

舞妓はん自体、基本的には公休日が月に2回あって豆駒の貴重な二日は僕との

デートでつぶれた。

だから、僕とラブラブしてることが見つかると豆駒にとっては不利な状況になる。


それでも豆駒はそんなことはまったく気にしなかった。

バレたらバレた時のこと。

そういう意味じゃ、豆駒は度胸が座っているし、お転婆だし、天真爛漫。

古風なたたずまいをしていても中身は現代っ子。


豆駒の周りの男と言えば、着物の着付けをする「男衆(おとこし)」あとは

お客さんとなる男子だけ。

ちなみに主な客は金持ちのおっさんが多いみたいだけど、そのことも僕に

とって心配の種でもある。


昔は「水揚げ」とかって客からのスポンサー契約があったみたいだけど、

今はそういう風習はなくなってるみたいだから少し、ほっとする。


もしたとえば、お客さんが舞妓はんの旦那になりたいと思っても舞妓はんが

拒否したらそれは叶わ夢となる。


豆駒が僕から他の男によそ見をしないかぎり、大丈夫とは思っても世間には

スケベなおっさんは数え切れないほどいる・・・僕の心配はつきないのだ。

豆駒本人は客との関係を商売と割り切って考えてるみたいだけど


・・・それでもね。


豆駒は今は十六才・・・普通なら二十歳になったら芸妓げいこはんになるんだけど、豆駒は芸妓はんになるつもりはないみたいだ。


二十歳まで舞妓はんを務めたら、その道から身を引くつもりらしい。

要は駒子は舞妓はんになりたかっただけで芸妓はんには興味がなかったみたいだ。


で豆駒と会うたび、少しづつ言葉が舞妓はん言葉に変わっていくのが面白かった。

今では駒子はすっかり舞妓はんしてる。


祇園甲部に来るたびに僕は豆駒の舞妓姿を目に焼きつけて帰った。


つづく。


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