絶対人間 I DOLL -DO OR DO-

プロローグ

『絶対人間 I DOLL（アイドール）

　　-DO OR DO（ドゥ オア ドゥ）- 私達はやるしかない』

　そのオーディションは突然開かれた。

　数年前、人気を博したアイドルグループがあった。

　『絶対人間 I DOLL -DEAD OR ALIVE（デッド オア アライブ）-』(通称:DOA（ディーオーエー）)

　プロデューサー鮫山純也（さめやまじゅんや）により設立された個人事務所『REVEROF（リバロブ）』から成るグループである。

　当時のアイドルグループの固定概念を破壊した、破天荒なライブパフォーマンスが話題を呼んだ。

　DOAは解散し、新形態となって登場したDO OR DO(通称:DOD（ディーオーディー）)。

　DODを組み上げるにあたり、DOD第一期生オーディションを開催した。

　前グループDOAの人気は凄まじく、DODのオーディションは約3000件を越える応募が集まった。

　審査は書類選考から始まり、歌、ダンス、容姿までも厳しくチェックされ、その中から4名のメンバーが選定された。

『DO OR DO』第一期生。

　ETSU（エツ）、CUW（クウ）、AYE（アイ）、KOH（コー）。

🤍 ETSU

島仲（しまなか） 悦叶（えっか） (18)

　オーディションでは優秀な結果を残し、誰もが認めるリーダー最有力候補。何をするにも読めないが、どこか人を惹き寄せる不思議な雰囲気の持ち主。

　アイドルであることに強いこだわりを持っており、楽曲の作詞やダンスの振り付け等も全てやらせろとプロデューサーにせがむ姿も確認されている。

　悦叶が加入するおかげでDODの存続が確定的で未来も明るいとプロデューサーも一目置いている。

　グレーに染めたボブカットとあまり活気のない表情が特徴的。

🤎 CUW

笹田（ささだ） 空李（くうり） (15)

　幼い頃からダンス教室に通い、DOAの後継グループに無事加入を果たした最年少メンバー。

　彼女は他の候補生達と親密になり、自分のことより相手のことを考える相談役的な役目であった。年齢にそぐわない大人っぽさが審査員の目に留まり評価された。

　黒髪セミロングでふわっと柔らかい表情をしている。

💙 AYE

錦見（にしきみ） 哀瑠（あいる） (16)

　オーディション中継でもかなりの人気を博していた。元々萌え系のアイドルグループに属していた。負けん気の強さが売り。

　萌え系であることとは裏腹に、DOAの楽曲でパフォーマンスした際には汗だくで歌う必死な姿、情熱を感じさせるダンスというギャップに皆釘付けになっていた。それほどまでにDOAに注ぐ愛は深い。

　髪を二つ結びにしていてTHEアイドルな風貌が人気の理由の一つ。

❤️ KOH

檜波（ひなみ） 紅曜（こうよう） (21)

　奇抜なセンスと、前グループDOAを思わせるロック感を全面に出し合格を果たした最年長メンバー。ひょんなことでオーディションの存在を知りDOAを視聴。アイドルに興味はなかったがDOAには何か感じ取ったようで沼にハマり、急遽応募を志した。

　自信家でオーディションの合格発表の際もそれがさも当たり前と言わんばかりに淡々と振る舞うクールビューティ。

　細かく編み込まれたイカツイ髪と派手で濃いメイクがトレードマーク。

　DOAの人気をほぼそのままに、新たなアイドルグループとして創設されたDODの活動は始まった。

　メンバー発表がされ数日、早くもデビューアルバムがリリースされる。

　それと共に動画サイトに処女作として『-DO OR DO- 私達はやるしかない』のMVが公開され、音楽業界に名を馳せる。

　そんな中でデビューライブの段取りが組まれ、結成から丁度一ヶ月の日に、大都会氷王見（ひのうみ）の中規模のライブハウスで開催されることとなった。

　ライブの出来栄えはかなり良かったように思えた。

　しかし、プロデューサー鮫山（さめやま）は早くも次の段取りへと歩を進めていた。