第99話 恋愛をしたい気持ちが湧いてきた
冬樹は交際を始めてから、彼女を優先するようになった。こちらにやってくることは、以前の10分の1まで減った。
交際をスタートさせた男は、満面の笑みを浮かべる機会が格段に増えた。恋愛は他人を笑顔にさせるものなのかなと思った。
バレンタインデーにチョコをくれた、逸宮みずほがこちらにやってきた。身長180センチで、クラスで一、二を争うほど背が高い。
顔立ちはキュートさを感じさせる。身長が高く、キュートな顔立ちをしていることから、「ジャンボキュートレディ」の名で親しまれている。呼ばれている当人は、「ジャンボ」に強い抵抗をおぼえているらしい。
「勝君のことが好きです。おつきあいをしていただけないでしょうか?」
みずほの告白に対して、すぐに返事をできなかった。おつきあいに対して、確実に心が揺らいでいる。
「ごめん、すぐには返事できない」
みずほは心の中の変化を、敏感にかぎ取っていた。
「恋愛に対して、積極的な気持ちが芽生えたようだね。今回はだめだったけど、次はいけるかもしれないね」
「そ、そうかも・・・・・・」
みずほは柔らかい笑みを作った。
「私を選んでくれると、すっごくうれしいんだけど・・・・・・」
「そ、それは保証できないよ・・・・・・」
二人で話しているところに、山本竜彦が近づいてきた。彼は一年前から、みずほに好意を持っており、何度も告白をしているらしい。一途な性格は、都とどことなく似ているような。
「逸宮さん、放課後に会いたいんだけど・・・・・・」
みずほは眉間にしわを寄せ、唇を尖らせた。
「山本君、何度もしつこいわよ。告白を三度も断られたなら、いい加減にあきらめなさい。これ以上近づいてきたら、ストーカー扱いするからね」
好きな異性からストーカー扱いされる。恋愛で最も避けたい状況である。
女性陣は容赦ない言葉を、竜彦に浴びせていく。みずほに同調するのではなく、ストレス解消目的の女も含まれていた。
「ストーカーってまじうざい」
「あいつだけは、絶対にムリだわ・・・・・・」
「執念深い男は危険人物だよね」
「クズ、下衆、野蛮人・・・・・・」
みずほはとどめの一撃を加える。
「どんなことがあっても、山本君だけはNGだから。そのことを理解したら、自分の席に戻りなさい」
竜彦は下を向きながら、席に戻っていく。告白に失敗したことのあるものとしては、ちょっとばかり同情する部分もあった。
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