水の平らのディア

最時

第1話 赤き衣の救世主

 王女ディアと召使いマサは二人乗り軽飛行機で母国、水の平らへ急いでいた。

 そして地上の異変を目撃する。


「なんだこれは・・・

 バッファローの大群だ!

 なんて数だ。

 水の平らに向かっている。

 姫様、このままじゃ水の平らが全滅じゃ!!」


「うん。

 一体どうやって誘導しているの・・・

 はっ。

 マサ、一時の方向見て!」


「あれは・・・」


 ドローンに血まみれのバッファーロの子が吊されていた。


「なんてことを・・・

 SOLで打ち落としてくれる!」


「待って、マサ。

 ドローンを撃墜してもバッファローの暴走は止まらない。

 私があの子を群れに返す」


「姫様、ムチャだ」


「ドローンをハッキングする・・・

 完了」


「姫様、なんて早さだ。

 流石、超アルバス級ハッカー」


 飛行機がドローンの上空に行ったところでディアは飛行機を飛び降り、ドローンをコントロールして静かにドローンに降りた。

 そして地上に降りる。


「大人しくして、出血がひどくなっちゃう」


 暴れる子牛を抱いてなだめる。


「ごめんね。

 痛いよね」


 子牛は落ち着きを取り戻して、ディアの顔をなめた。



 一方、水の平では


「ババ様、凄い地響き」


「大地が怒っておるのじゃ」


「凄い。

 見渡す限り真っ黒」


「こうなったら誰にも止められないよ」


「あっ、姫姉様が!」


 ディアは大群に跳ね飛ばされ、黒に波にのまれた。


 しばらくすると地響きがピタリと止まった。


「大地が静まった。

 何が起きている」


「ババ様。

 姫姉様がバッファローの背中に、真っ赤な異国の服を着ているの。

 それで光る角に囲まれて、アルドルのコンサート会場みたい」


「おお。

 その者、赤き衣を纏い、漆黒と光の野に降り立つ。

 伝説は本当じゃった。

 ババの盲いた眼に変わってよく見といておくれ」


「はい、ババ様

 姫姉様すごく綺麗。

 アイちゃんのよう」



「ありがとう、バッファロー達」


 ディアの傷は癒やされ、光の野で踊っていた。

 そして地の降りると、子牛が駆けよってきてディアの顔をなめる。


「くすぐったい。

 あなたの傷もすっかり良くなって。

 良かった」


 バッファローの群れへ森へと帰っていった。

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水の平らのディア 最時 @ryggdrasil

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