三分間で、できること
島丘
1
私には三分以内にやらなければならないことがあった。
うっかり触って指紋がついてしまった包丁の柄を拭うこと。それから、小屋の中に残った足跡を消すことだ。
一つ目は、ポケットに入っていたハンカチでどうにかなった。だけど二つ目は、まだ終わっていない。どこにも雑巾が見当たらないのだ。
どうしようかと考えている内に、時間は過ぎていく。
残り一分になったところで気付いた。
そうだ、何も急いですることはなかったのだ。後回しにすればいい。
私は包丁を手に取った。
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