三分間のラブレター

MERO

三分間のラブレター

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。


 まず最初の一分で感謝させてほしい。

 私はあなたにとって必ずしも必要じゃないのに、私を選んでくれてありがとう。

 あなたのために、私、あなたのエネルギーになって身体中を癒したい。


 あなたに選ばれて私は私らしさを発揮できる。だから何度もお礼を言ってしまう。

 要らないと言われるまで私はあなたを支えるから、疲れたら頼ってほしい。


 次の二分で私はぐるぐるしながら思考する。

 こうやって溶け合って私が1つになるのは怖くない。

 そして最終的にあなたの中に私は入るの、それがどれほど嬉しいことかあなたにわかるかな?


 ずうっと待ってたよ、ねぇ、今年は初めてだよ。

 そうだよ、ずっと忙しくて私なんてあなたに見えていなかったから、こうやってみつめられるとちょっとドキドキしちゃう。忙しさがひと段落したんだなってわかった。だから落ち着いてホッと一息、ついてね。私はいつだってあなたを応援してるから。


 もう三分になるの?

 時間がいくらあっても足りない。

 私があなたに与えられるもの、全てあげる。

 私はあなたと一緒になって生き続けるの。


 ちょっと私は取りすぎると毒になるから、適度に加えてね。

 あなたのタイプは真っ白くて四角いまんま、私らしい私が好きなんだよね。

 数がたいてい1つ。時々、2つになる。


 外出時はほとんど手を付けない。好きなタイプが私で家にあるものしか使わないといつか1人で飲みながら呟いたのを聞いたことがある。それを聞いて私は少しだけ嬉しい。数ある中から私じゃないとダメだって言われてるみたいで。きっと代わりなんてたくさんいるんだろうけど、私がなくなるまでは私だけを選んでほしい。


 私はあなたに味わってもらうために生まれてきて、あなたの家にきたのは偶然だけど、ものすごく大切に扱われて嗜好品として使われる。この上ない幸せを感じてる。


 あなたが好む紅茶の中に浮かんで、私は砂糖としてかき混ぜられて身体に取り込まれる。さぁ、その最後の一滴まで存分に召し上がれ。

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