三分ヒーロー

第1話

都市を突如として襲った巨大な怪獣。その姿勢は街を破壊し、市民たちは逃げ惑う中、ヒーロー『サンダーレイジ』が駆けつけた。彼の活動限界時間は三分間。三分以内に怪獣を倒さなけれなばならない。

「サンダーレイジ、時間がない！　三分以内に倒せ！」司令官の声が通信機から響く。サンダーレイジは心の中で決意を固め、怪獣に向かって立ちはだかった。

巨大な怪獣は炎を吹き、尾で建物を叩きつけ、地面を揺るがす。サンダーレイジはスピードを増し、素早い動きで縦横無尽に戦った。彼の身体能力と戦闘スキルは、普通の人々の想像を遥かに超えていた。

三分の狭い時間の中で、サンダーレイジは怪獣の各部に攻撃を仕掛けた。雷のような斬撃や、超音速の蹴りが怪獣にダメージを与え、その巨体を揺さぶる。しかし、怪獣も容赦なく反撃し、ビルの残骸がサンダーレイジの周りに散らばっていく。

二分が経過。サンダーレイジは息を切らせながらも戦い続けた。市民たちは避難し、街の安全を祈りながら見守っていた。サンダーレイジの力と覚悟が、彼らに勇気を与えていた。

残り一分。サンダーレイジの胸元のタイマーが激しく点滅する。リミットが近い。だが、怪獣の反応も鈍くなり、サンダーレイジが最後の一撃をくわえる。エネルギーを込めた一撃が怪獣の弱点に命中し、爆発的なエネルギーが放たれた。怪獣の巨体が崩れ落ち、その姿が消え去ると、街は静まり返った。

サンダーレイジは力尽き、ひざまずいた。彼の周りに広がる被害の中で、彼は微笑む。三分以内に怪獣を倒すという使命を果たし、市民たちの安否を確認する。やがて、人々の拍手と感謝の言葉が、サンダーレイジに届いた。

「……あの監督」

「なんだね」

　特撮番組『サンダーレイジ』を担当する監督とデザイナーが、撮影風景を眺めながら話している。

「サンダーレイジのスーツにタイマーをつけるのはやめてくれませんか。僕のデザインにはありませんでしたよね」

「あれは現場の判断でつけたものだからなあ。分かりやすくて子供たちの受けもいいし。おっと、あと三分で次のシーンを撮らないと」

　　デザイナーは残り三分でどうにか監督を説得できないものかと頭を悩ませた。