【KAC2024】ケチャップ名探偵の事件簿②事件現場マヨネーズ氏の住宅内見編

竹神チエ

ケチャップ名探偵とマヨネーズ大富豪

 ソースソースディップ町で勃発したバッファロー暴走事件を無事解決した名探偵右利きのケチャップと助手バジルくんに、新たな依頼が舞い込む。


 大富豪(新情報)左利きのマヨネーズ氏の体内液状物質(マヨネーズ)が部屋中に散乱していた。


 第一発見者であるマヨネーズ氏の姪マスタード嬢の要請で、事件解決に乗り出した二人は、大富豪(強調)マヨネーズ氏の自宅に向かったのであった……。


 パシャパシャ


 カメラのシャッター音。


 現場には警察が到着している。捜査担当のペッパー警部は、トラテープ(立ち入り禁止テープのやつ)の向こうで揉めている声に舌打ちする。


「なんだ、もうマスコミが……、おやっ!」


 ペッパー警部は野次馬を追い払おうとしている警官を叱責した。


「やめろやめろ。こちらのケチャップさんは、名探偵右利きのケチャップ氏だ。すみません、ケチャップさん」


 申し訳なくするペッパー警部に、ケチャップは鷹揚に応じる。


「いいんですよ警部。ぼくを知る人なんて少数だ。どう見てもそこらによくいるケチャップですからね」


「そんなケチャップさん!」

「そうですよ。先生は誰が見たって名探偵です!」


 慌てるペッパー警部と憤慨するバジルくんに、ケチャップは恥ずかしそうに頬を染める(元々赤い顔なので周囲は気づかない)。


「部屋を内見しても?」

「もちろんですとも、ケチャップさん」


 マヨネーズ氏の執務室を見回す。凄惨だ。あらゆる場所にマヨネーズが飛び散っている。ケチャップ名探偵は絨毯に付着していたマヨネーズを指ですくい匂いを嗅いだ。


「ふむ。間違いなく左利きのマヨネーズ氏の体内液状物質(マヨネーズ)だね」

「わかるんですか、先生」

「わかるよ、バジル。ぼくらは竹馬の友なんだ」


「そうだったんですね。でもこの状況ではもう……」

「そこまで。おくちケチャップ(チャック)だ、バジル。現場にマヨネーズ氏の姿はなかったんだから、どこかへ移動した可能性もある」



 ——シリーズ③に続く






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