第2話 私と競輪②

次の日になると、早速競輪場へと向かうことにした。

今日も昨日と同じように、二人で練習をする予定である。

競輪場に着くと、すぐに着替えを済ませて準備運動を始めた。

それから、軽く走り始めることにする。

初めはゆっくりと走っていたのだが、徐々にペースを上げていくにつれて、

どんどん気持ちが高揚していくのがわかった。

まるで風になったかのような感覚に襲われるとともに、全身に力が漲ってくるような感覚を覚える。

そのまま走り続けていると、やがてゴールが見えてきたので、ラストスパートをかけることにした。

一気に加速して走り抜けた後、しばらく余韻に浸っていたが、しばらくして我に返ったところで、

呼吸を整えるために深呼吸を繰り返すことにした。

しばらくすると落ち着いてきたので、再び走り出すことにする。

その後も何度か周回を重ねていたが、そのうちの一つ目で運命の出会いを果たすことになるとは夢にも思っていなかったのである。

その日以来、毎日のように競輪場に通うようになった私は、日々の練習の成果を発揮するべく、必死に努力を続けていた。

そんな時のことだった。

いつものように競輪場に向かっている途中、見覚えのある姿を見つけたので、思わず二度見してしまった。

そこにいたのは紛れもなく、あの子だったからだ。

(えっ!? なんでこんなところにいるの?)

驚いて立ち止まっていると、向こうもこちらに気づいたらしく、こちらに向かって歩いてきた。

そして、目の前で立ち止まると、話しかけてきたのだ。

「こんにちは!  あなたも競輪場に通ってるの?」

いきなり話しかけられて驚いたものの、何とか平静を装って返事をすることができた。

「は、はい……そうですけど……」

と答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ後、こう続けた。

「そうなんだ!  私も最近始めたばかりなんだけど、すごく楽しいよね!」

そう言われた瞬間、胸が高鳴るのを感じた。

まさか、こんなところで同じ趣味の人と出会うなんて思っていなかったからだ。

(どうしよう……)

私は迷った挙句、思い切って彼女に聞いてみることにした。

「あの、よかったら一緒に練習しませんか?」

そうすると、彼女は快く承諾してくれたので、二人でトレーニングをすることになったのである。

それからというもの、彼女とは毎日のように競輪場で会うようになり、少しずつ仲良くなっていったのだった。

そんなある日、いつものように競輪場に向かっていたのだが、途中である違和感を覚えた。

それは、今まで感じたことのない感覚だったからだ。

それは、彼女の姿を見ると何故かドキドキするといったものだった。

しかし、その感情が一体何を意味しているのか理解できず、ただ困惑していたのだが、

ある日のこと、ふとした瞬間に悟ったのだった。

ああ、私は彼女に恋をしているのだということを……。

それからというもの、彼女と過ごす時間がとても楽しくなった。

一緒に練習をしたり、ご飯を食べたりしているうちに、ますます彼女のことが好きになっていったのである。

そんな時のことだった。

あるレースの後、彼女が話しかけてきたのだ。

「ねえ、知ってる?  今回のレースはね、特別なんだよ!」

興奮気味に話す彼女を見ていると、こちらまでワクワクしてくるようだった。

一体、どういうことなのか聞いてみると、彼女は説明してくれた。

どうやら、今日のレースで勝った選手は、次回のレースにも優先的に出場権が与えられるというシステムがあるらしい。

つまり、次のレースで勝てば、またあの子と一緒に走れるということである。

そう思うと、俄然やる気が出てきた。

そして迎えたレース本番当日、私は緊張しながらもゲートに入った。

(大丈夫……落ち着いていこう……)

そんな気持ちでスタートを待つ。

そしてついにレースが始まった瞬間、一斉に飛び出していった選手たちの中に、彼女の姿を見つけた。

彼女もこっちを見ていたようで、目が合うと微笑んでくれたような気がした。

それが嬉しくて、思わず笑みがこぼれてしまう。

いよいよ最終コーナーに差し掛かったとき、彼女が動いたのが見えた。

それを見た瞬間、私は勝利を確信した。

そして、見事一着でゴールインすることができたのだった。

その瞬間、周りの歓声と共に大きな拍手が巻き起こり、私を祝福してくれているようだった。

喜びのあまり涙が出そうになったが、それをぐっと堪えて笑顔で応えることにした。

その後、インタビューを受けることになったので、マイクの前に立って質問に答えることにした。

まず最初に名前を聞かれたので答えることにする。

次に年齢や誕生日などの簡単なプロフィールを述べた後で、最後に一言求められたので、こう言った。

「今日は本当にありがとうございました!

これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!」

私の言葉に対して拍手が起こった後、質問タイムに移ったため、次々と飛んでくる質問に答えていった。

そして、最後にもう一度お礼を言ってからその場を後にしたのだった。

翌日、学校で会った彼女は満面の笑みで迎えてくれた。

それだけで幸せな気分になれるのだから不思議である。

放課後になると、いつものように競輪場に向かうことにした。

だが、その前に一つだけやることがある。

そう、例の約束のことだ。

そのことを告げるために彼女に声をかけた。

「ねえ、もしよかったら、今日も練習しない?」

と言うと、彼女は喜んで応じてくれた。

そして、いつも通り二人で走り始めることにしたのだが、

今回は昨日と違って特別なコースを走ることになっていた。

というのも、なんと特別に貸し切られた競輪場だったのだ。

そのため、いつも以上にスピードが出るということで、みんな必死になって走っていたのである。

そんな中でも、私たちは冷静だった。

むしろ楽しんでいたくらいだ。

周りを気にすることなく自由に走ることができるというのが嬉しかったのかもしれない。

とにかく夢中で走り続けていると、あっという間に時間が過ぎてしまったようだ。

結局、その日は一度も勝てなかったが、充実感はあったように思う。

帰り道では、今日の出来事について語り合ったりして盛り上がったりもした。

こうして、私たちの絆はますます深まっていくことになるのだった。

それからというもの、毎日のように競輪場に通うようになった私たちであったが、

さすがに毎日勝つことはできず、負けてばかりだったが、その度に二人で励ましあって、

次こそ勝てるように頑張ろうという気持ちになれたのであった。

その日以来、私たちはいつも一緒で、お互いを高め合っていく関係になっていった。

特に競い合っていたわけではないが、二人とも負けず嫌いだったので自然とそうなっていったのだろうと思う。

そんな日々を過ごしているうちに、いつの間にか親友と呼べる間柄になっていたのだった。

「ねえ、一緒に練習しようよ!」

いつものように競輪場で会った私たちは、早速練習を始めることにした。

まずはウォーミングアップとして軽いジョギングを行うことにする。

(よし、今日も頑張ろう!)

心の中で決意を固めて走り出すと、すぐに息が切れ始めてしまったが、

それでも諦めずに走り続けた結果、何とか完走することができたのだった。

「やったー!  完走したよ!」

思わずガッツポーズをしてしまった私だったが、隣を走る彼女も同じように喜んでいるようだった。

その後も、何度か周回を重ねながら、徐々にスピードを上げていき、

最終コーナーに差し掛かったところで一気に加速していくことにした。

そして、最後の直線に入った瞬間、目の前にいた選手たちが一斉にスパートをかけ始めるのが見えた。

私も負けじと全力でペダルを踏み込み、ゴールを目指すことにする。

しかし、やはり相手の方が一枚上手だったようで、先にゴールラインを超えられてしまったようだ。

(悔しいな……でも、まだまだこれからだよね!)

そう心の中で呟きながらも走り続けるが、結局最後まで追いつくことはできなかったのだった。

それでも諦めずに練習を続けていくうちに、少しずつではあるが勝てるようになってきてはいたのだが……ある日のこと、

いつものように競輪場で会った彼女が話しかけてきたのだ。

「ねえ、最近どう? 調子は?」

と聞かれたので、正直に答えることにする。

そうすると彼女は、嬉しそうに微笑んだ後、こんな提案をしてきたのである。

「じゃあさ、次のレースで勝った方が負けた方に何でも命令できるっていうのはどうかな?」

そんな唐突な提案に驚いたが、すぐに了承したのだった。

そしてレース当日、私たちは別々のゲートに入ったのだが、

スタートと同時に一斉に飛び出していく選手たちの中で、私は一人別のことを考えていた。

(私が負けたら何を命令されるんだろう……)

不安と期待が入り混じった複雑な感情を抱きながら走り始めた私だったが、

途中で他の選手と接触してしまったためかバランスを崩してしまい、そのまま転倒してしまった。

その結果、最下位でゴールインするという結果に終わったのである。

その後、結果発表が行われたのだが……なんと私の負けだったようで、

結局彼女に命令されてしまうことになってしまったのである。

一体どんな命令をされてしまうのかドキドキしていると、彼女は笑顔でこう言ったのだ。

「それじゃあね、一緒にお風呂に入ろっ!」

「えっ?」

と思わず聞き返してしまった。

予想外の提案だったので、戸惑うばかりである。

だが、彼女は構わず続けた。

「いいでしょ?  それとも、私と一緒に入るのは嫌かな……?」

そう言って見つめてくる彼女の視線に負けてしまった私は、仕方なく了承することにしたのだが、

内心はかなりドキドキしていた。

(一体どんな展開になるんだろう……?)

そんなことを考えているうちに、いつの間にか脱衣所に到着していたようだ。

彼女が先に服を脱ぎ始めたのを見て、私も慌てて脱いでいったのだが、

ふと気づくとすでに下着姿になっていた彼女の姿があったのだ。

その姿を見てドキッとすると同時に興奮してしまった私は、つい見惚れてしまっていたようだったが、

そんな彼女の視線に気付いたのか、こちらを向いて微笑むとこう言ったのである。

その言葉を聞いた瞬間、一瞬思考回路が止まったような気がしたが、

すぐに我に返ることができた私は何とか冷静さを取り戻すことができた。

そして、改めて考えてみると確かにその通りかもしれないと思ったので素直に従うことにしたのだった。

その後、二人で仲良く入浴を済ませた後は、それぞれの部屋で眠りについたのだが、

その間中ずっとドキドキしっぱなしで、なかなか寝付けなかったことは言うまでもない。

翌朝目が覚めると、目の前には可愛らしい寝顔があった。

その無防備な姿にドキドキしながら見つめているうちに、

もっと近づきたいという気持ちに駆られていき、思わず手を伸ばして頬に触れてしまった。

そうすると、くすぐったかったのか、彼女が小さく声を上げたため慌てて手を引っ込めたが、

幸いにも起きる気配はなかったようだ。

ほっと胸を撫で下ろしつつ、改めて彼女の顔を眺めることにしたのだが、

本当に整った顔立ちをしているなと思った瞬間、急に愛おしさが込み上げてきたような気がした。

そこで思い切って彼女にキスをすることにした私はゆっくりと顔を近づけていったが、

あと少しというところで思いとどまったのだった。

(やっぱりダメだよね……寝ている間になんて卑怯だし……)

そう考えた結果、結局何もできなかった私だったが、その代わりに彼女の頭を優しく撫でてあげることにしたのだった。

それからしばらくの間撫で続けていたのだが、さすがにこれ以上続けるのはまずいと思い手を止めようとしたその時、

突然彼女が目を覚ましてしまったのである。

驚いた私が固まっていると、彼女もまた固まっていたようだったが、

やがて状況を理解したらしく、急に抱き着いてきたのだ。

突然のことに動揺する私だったが、次の瞬間には唇を奪われてしまっていたのだった。

あまりの衝撃に呆然としていると、彼女は恥ずかしそうにしながらも微笑んでくれた。

そして一言、 私の耳元で囁くように言ったのだ。

「おはよう、大好き!」

その瞬間、私の中の何かが弾けたような気がした。

気がつくと、彼女を強く抱きしめていたのだった。

そうすると彼女もそれに応えるようにして、更に強く抱き締め返してくれたのである。

しばらくそうしていた後、私たちはようやく落ち着きを取り戻したのだが、

お互いに顔を見合わせると照れくさくなってしまい思わず笑ってしまったのだった。

それからというもの、朝起きた時のキスは毎日の習慣となっていたのである。

そしてある日のこと、いつものように競輪場で会った私と彼女は、早速練習を始めることにしたのだが、

その前に少しだけ話す時間があったのである。

そこで私は思い切って彼女に話しかけることにしたのだ。

「ねぇ、貴女は次何のレース出るの?」

「えっと、私はねぇ……」

彼女は少し考えた後、こう答えた。

「次のレース、二枠目に出る予定だよ!」

それを聞いた瞬間、私の胸は大きく高鳴ったのだった。

なぜなら、そのレースには私も出場することが決まっていたからだ。

つまり、彼女と直接対決する可能性があるということである。

(これは絶対に負けられない!)

そう思った私はいつも以上に気合いを入れて練習に励むことにしたのだが、

そんな私に対して彼女もまた同じ気持ちを抱いていたようだった。

そしていよいよレース当日を迎えることとなったのである。

スタート地点では、すでに多くの選手たちがスタンバイしており、

その中にはもちろん彼女の姿もあった。

そんな彼女の姿を見ただけで興奮してしまいそうになる自分を抑えるように

しながら深呼吸を繰り返しているうちに、ついにその時がやってきたようだ。

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