第18話 ラストジャーニー〈中〉



 プロテスタント墓地の入り口に打ち捨てられた白い花束が、夜の風に靡いている。

 函館市内の坂の上、海を望む景勝地である外人墓地は夜間ということもあり、二人の他に人も居らず、静まり返っていた。

「夜の墓地に来たいだなんて、春さんはやっぱりちょっと変わっています」

「でも、翠だって外人墓地に来たかったのでしょう」

「だって夜の墓場はおれたちにとっては庭のようなものじゃない」

「それは……ちがいない」

「そうでしょう。だからこれでオッケーなのです」

 翠と春は夜の九時を回った頃に函館駅に到着した。

 まずはホテルにチェックインを済ませ、荷物を部屋に置くと、軽く市内を散策することにしたのだった。

 函館は坂が多く、比較的起伏もあるため、春は翠の体調に配慮してレンタカーを借りて移動することにした。どの道、夜間ということもあり、市電やバスの本数も限られている。

 そこで訪れたのが外人墓地。函館山北西側の高台に設けられた函館港内を一望できる観光名所だった。江戸時代末期に多くの外国人が渡来し、居留を始め、そして母国に帰ることなく命を落とした人々をはじめとする諸外国の人間たちが眠る墓地である。

 今、二人は中華山荘脇の路地を進み、海側の散策路に入り、プロテスタント墓地と中国人墓地を柵越しに正面から眺めていた。

「なかなか雰囲気がありますね。古き良き時代のなんとやら、だ」

 海風に煽られる髪を押さえて春が言う。

「ここは春さんに似合う場所ですね」

「そうかな。花でも持ってくればよかったか」

 春が薄く微笑めば、翠は記憶をなぞるように口にする。

「いつかも墓地でデートしましたね。あれはうちのお墓があるからだったけど」

「僕らは結局いつもと同じことをしてしまうみたいだね」

 そう言って笑い合いながら来た道を戻る。

「明日はどこへ行きたいですか?」

「そうですね……ベイエリアを見て、元町を散策して、カフェに入りたいです。あと、教会建築を見てまわりたい」

「イギリス領事館とか元町公園、それに旧函館区公会堂には行けそうですね。カフェは散策中に良さげなお店を見つけましょう。教会群も近いですし、ね。五稜郭公園は行かなくていいんですか?」

「そっちの方は前に修学旅行で行ったから今回は大丈夫かな。あ、ラッキーピエロには行きたいです。ハンバーガー、美味しいんですよ」

「了解。行ける限り全部回りましょう。翠、体調は平気?」

「全然大丈夫、です……っと」

 躓きかけてよろめく翠を春はそっと支えた。翠の体は紙のように軽かった。

「……ごめん。ちょっと転びそうになっただけ、です」

「無理はいけない。明日に備えて今日はもう宿に戻りましょうか。せっかくの露天風呂付き客室だ。満喫しないと損ですよ」

「うん、そうだね。……春さんのことだ、どうせエッチなこととか考えているのだろうし」

「ひどいな。否定はしないけれど」

「……ばか」

 眼下に函館港の夜景を望みながら歩き、停めていた車に戻る。

 エンジンをかけて冷房を効かせると、助手席に掛けた翠がようやく一息をついたようだった。翠の顔には血の気がなく、その肌は夜でも白く映えた。

「翠。何度でも言うけど、無理をしたらだめですよ。本当に具合が悪いなら、すぐに」

「だめ」

「え?」

「だめ、です。せっかく二人きりで一緒に過ごせる最後の時間なんだから、帰るだなんて絶対にだめ。許さない。それに、おれはぜったいに大丈夫だから……だから春さんも普通にして。これはおれからのお願いです」

 翠はふんわりと笑ってみせると、真剣な目をして春を見つめてきた。

 おそらく、翠の体調はけして万全ではないのだろう。だが、少女は自分に残された時間がもう長くはないことを知っている。

 後悔などしたくはない。その気持ちはお互い同じものだった。

 だから春も心を決めて返す。

「わかりました。僕もこれからはいつも通り普通に君に接します。でも、もしもの時は翠が暴れても何も言われても病院に連れて行きます。朱美さんも秋月さんも翠のことを心配しているのだから。同じことは二度言わない。これでいい?」

「……はい。お願いします」

「それじゃ、宿に戻りましょうか」

「うん」

 函館山を降り、坂道を下ると春は宿のある湯の川温泉街方面へ車を走らせた。

 湯の川は海岸に沿って多くの温泉宿が立ち並ぶ温泉街として知られている。

 海沿いの道をいく間、翠はぼんやりと窓の外の闇に目を凝らしているようだった。

 それでも、信号待ちの間に翠の手に触れると翠は春の手指をきゅっと握り返してくれた。

 ごうごうという海鳴りが車の窓越しにも響いていた。

 宿に戻ると二人は浴衣に着替えて夕食を取り、個室露天風呂を満喫した。


 §


「んっ……くぅ……、春、さん、おれ、もうイく、ぅっ――あァッ」

 春が組み敷いた裸体が痙攣し、何度目かの絶頂を伝えてきた。

 あられもない嬌声をあげて、翠が達する。

「あ――ァ――ッ」

 快楽についてゆくことができずに仰反る体をきつく抱きしめてやり、春も自身が果てるまで翠の胎の中を掻き回すような激しい抽挿を繰り返した。

 やがて欲望を全て翠の中に吐き出すと、春は翠からそっと体を離した。

 行為の後、互いの肌が冷えるまでしばらくの間抱き合っていると、ようやく落ち着いたらしい翠が春の胸にそっと手を回してきた。

「……は、あ、……きっと、もうこういうこと、も、できなく、なっちゃうんだ、な。ちょっと、悔しい」

「翠」

「もっといっぱい、おれで気持ちよくなってほしかった」

「……翠はじゅうぶん僕をよくしてくれたけど」

「だって、でも、春さんは……なんて言うか優しすぎたよ」

「それは、……いけませんか?」

 翠は春の腕の中でふるふると首を振った。

「そうじゃない。それはとてもうれしいことだったけど、ただ恋人として大切にするだけじゃなくて、春さんが抱えてる欲みたいなもの、全部ぶつけてほしかった」

「そんなこと、君には」

「できない? それはきっと嘘、ですよね。春さんが本当は優しくないってこと、おれはもうちゃんと知ってる。それに、多分……別のひとにそれを無理やりぶつけていたかもしれないことも」

「そ、れは」

「いいの。何があったかなんて、話してくれても全部はきっとわからない。けれど、おれにぶつけてくれても、きっとおれはちゃんと受け止めたよ」

 翠は少し悲しそうに微笑むが、すぐにいつもの無邪気な笑顔になった。

「だから、さ。最後にもう一回、して。ひどくたって、汚くしたっていいから。おれは、春さんの全部が欲しいの」

「翠、それは」

 だめだという言葉は翠の口付けによって奪われてしまった。

 翠はそのまま深く、しっとりと口付けて、徐々に首から肩、胸から腹部へと唇を滑らせていく。

 少女の細い体が、春を犯し初めていた。

「……っ」

 思わず身を起こし、自らにのしかかっていた翠の体を反転させて押し倒す。

 翠が懇願めいた視線をまっすぐに向け、見上げてきた。

「いいよ。して。嫌いになんてなれないから。これで死んじゃってもいいから、春さんに、本気できてほしい」

 春の中の欲望も、吸血鬼としての性も、全部翠は見抜いていたのだ。そしてそれを必死に隠そうとしていたことさえも。

 ひどい誤算だった。

 もっと嫋やかで、か弱い少女だとばかり思っていた。それは春の傲慢さと憐憫が招いたものだった。

 翠はルリとは違う少女なのだ。

 今更それを思い知り、春は内心で歯噛みしていた。

 でも、今更迷うことは許されない。

「……いいんですか。僕はきっと、とてもひどいことをする。痛くて、君のことなんてなにひとつ労わらない、誰にも言えないような気持ちの悪いことをするかもしれない」

「いいよ。知らないで死んじゃうよりは、ずっといい。それに」

 翠は春の体にそっと縋り付くように抱きしめた。

「春さんだから。きっと何をされたって、どうしたって許しちゃうんだ。だから、おれにぜんぶをください」

 春は翠に覆い被さると、それきり彼女がそれ以上の懇願をしなくても済むように動いた。

 それは陵辱めいたやり方で非道な行為であったが、翠は泣いて悲鳴をあげようとも春を拒むことはなかった。

 行為の後、翠は春の腕の中で初めて「好き」ではなく「愛しています」と口にしたのだった。

 明け方、雨が降り出すまで二人は抱き合ったままでいた。


 §


「わ、すごい! 大きな洋館だ」

 基坂もといざかを登った先に広がる元町公園に出ると、翠が歓声をあげた。

「旧函館区公会堂ですね。さすがに立派だな」

 元町公園は坂を登った先にある小休憩地点ともいえるポイントで、函館港を一望できる憩いの場だ。

 そして、そのすぐ先には国指定重要文化財である旧函館区公会堂が位置している。

 外観がブルーグレーとイエローを基調とした和洋折衷建築であり、かつての函館大火によって消失した集会所を再建すべく、明治時代に建てられた洋館である。

「翠はここへは来たことがないんですか?」

「うーん。おれが修学旅行のときにはちょうどリニューアル工事中で、公園の近くを通っただけだったんです。だから今日来られてよかった」

「なるほど」

 雨に烟る中でも煌びやかに聳える公会堂は函館の観光スポットの中でも特に人気の高い場所だという。その証拠に雨の中でも訪れる観光客の姿がちらほらとあり、公園にはキッチンカーも停まっている。

 ここへ辿り着くまでに、イギリス領事館などに立ち寄ってきたが、また違う開けた趣がある場所だった。

「せっかくだし、中へ入りましょうか」

「うん」

 翠も拝観したいらしく、素直に頷く。

 二人は入り口で傘を畳むと、拝観料を払い、公会堂の中へと足を踏み入れた。

「中、綺麗ですね。それにけっこう広いな」

「向こうは長廊下みたいですね。写真撮ってるひとがいる」

「上の階にも行けるみたいだ。大広間とバルコニーが見られるようですよ。晴れていたら……って僕には無意味かもしれないけど、絶景が見られるのだろうな」

 まずは一階のメインホールに入る。昔はビリヤード台が設置されていたというこの部屋は球戯室で、現在は公会堂の歴史を辿ることのできるパネルやミニチュアが設置されている。

 それらを眺めてから奥に広がる廊下へと進み出る。建物に沿って伸びる縁側だった。

「きれいだな」

 奥までまっすぐに伸びる空間はガラス窓によって閉ざされている。陽が差し込めばきらきらと輝いて見えるだろう。

 と、そこへ洋風のレトロなドレス姿の女性が現れた。屋内の装飾と相まってその場がパッと華やいだ気がした。

「わ、なんだろ? 何かの撮影、とかですかね?」

「それにしては人が少ないというか……あ、あれですよ」

 エントランスの方を振り返れば貸衣装の看板が目に入る。〈函館ハイカラ衣装館〉という文字が書かれており、そこからさらに袴姿の外国人旅行客が出てくるのが目についた。

 どうやら貸衣装のサービスも行われており、ドレスや袴などレトロな衣装で館内をある程度自由に歩くことができるようだ。手元をみれば入場時に配られたパンフレットにも記載されていた。

「なんだ、レンタルドレスか。びっくりした」

「……翠も着てみたらどうです?」

「は、あ? おれが!? おかしいし、きっと似合わないよ」

「だって、さっきはいいなぁって顔して見ていましたよ?」

「し、してないし!」 

「それにレンタル料は破格です。カフェに入るより安い値段でドレスが借りられるんですよ。旅の恥は掻き捨てといいますし、いいんじゃないかな」

 それに、と春は付け足す。

「僕は翠のドレス姿、見てみたいんだけど」

 それは本心だった。だが、同時に翠の「やりたいことリスト」に含まれている項目でもあった。

 翠自身は覚えていないだろうが、花嫁衣装を着てみたいという願い事が確かにそこには記されていた。

「ほ、ほんとに? 見たいんですか? こんなガリガリに痩せてて、髪だって短くて、絶対に合わないのに?」

「翠はスタイルがいいですし、外国のモデルさんでも髪の短い方は大勢いますよ? それに色白だし、僕は映えると思うんですけど。でも無理強いはできませんし、ね。今回はやめておきますか」

「そ、んな、こと……! は、春さんが見たいなら、べつに……着てもいい、し。それに、おれも、本当は、き、きてみたい、し」

「よし。では、翠の気が変わらないうちに行っちゃいましょうか」

「うぅ、春さんのばかー」

 ハイカラ衣装館は入り口の隣室に展開されている簡易的なレンタル衣装ショップだった。洋装コースと和装コースがあり、室内に飾られた色とりどりのドレスや袴の中から好みの衣装を選ぶ形式となっている。

 有料だがヘアメイクやアクセサリーの貸し出しも行っているらしい。

 幸い予約は不要で、飛び込みで利用することが可能だった。

「大人一名お願いします。メイクとアクセサリーのオプションも追加で」

「は、はぅぅ」

 尻込みする翠をせき立てつつ、春は受付の女性に笑顔で申し出た。

「はい。一名様、ですね。……あの」

「はい?」

「当館は男性向けのご衣装の貸し出しも行っておりまして。もしよろしければお客様もどうです? もちろんお連れ様だけでも構いませんが、きっとお似合いになりますよ」

「へ? 僕ですか? 僕は遠慮しておきます。第一、似合いませんし」

「「そんなことありません!」」

「ひっ」

 翠とスタッフが声を揃えて否定した。春は思わずその剣幕に気圧される。

「春さんも着ましょう!? その方がおれも気が楽だし! っていうか春さんのレトロタキシード姿! 見たい! 見たい!!」

「ほら、お連れ様もこうおっしゃっていますし。当館は外国人のお客様にも対応しておりますので、背の高い方用のサイズも豊富にご用意しております」

「春さんが着てくれたら、おれ、たぶん症状がすごいよくなると思うなー。もしかしたら病気なんか全快しちゃうかもしれないなぁ。でも着てくれなかったら、おれこのまま無惨に死ぬだけかも」

「翠、ひどいですよ! それは暴力です!」

「だまらっしゃい! 春さんも着るのー!」

 結局、翠とその場にいた女性スタッフ数名――つまりは女性陣の圧力に屈した春も衣装をレンタルすることになった。

 パテーションで区切られた着替えスペースに案内される。

 間仕切りされた向こう側では同様に翠が着替えを始めていた。

 基本的に女性のドレスの方が着付けは早くできるようで、春が着替えている間に翠の方はヘアメイク等も受けることになったようだ。

 春に貸し出されたのは黒を基調とした英国風の古めかしいスーツだった。身長のために外国人観光客向けに貸し出されている衣装を借りる羽目になったが、サイズ感だけならば案外しっくりくるものだった。

 シャツとベストであれば仕事で着慣れているせいもあってか、当初の想定よりも抵抗感なく着こなすことができた。

 翠が出てくるより早くに着替えが終わった春を見て、女性スタッフがほぅっと惚けたように息を漏らした。

「とてもお似合いですよ、お客様」

 そう言って小道具のステッキを渡される。

「それは……どうも。連れの様子はどうでしょうか?」

「今、スタッフが手伝ってアクセサリーをつけていただいている最中です。もうすぐ出てこられますよ」

 衝立の向こうの様子を伺って、スタッフがにこりと微笑んだ。

「とても可愛らしく仕上がって――あ、ほら。終わりました」

 衝立の向こう側から衣擦れの音が聞こえ、翠が出てくる気配があった。が、最後の一歩というところで彼女は立ち止まったようだった。

「い、今からそっちへ行く、けど。絶対笑わないって誓う?」

「どうして? 僕が翠を揶揄うわけないでしょう」

「そうだけど! 笑わないって言うまで出て行かないんだから」

 壁一枚隔てた側から呻く声が聞こえる。どうやら翠は自分の扮装を恥ずかしく思っているようで、実際に着用した姿を晒すのに二の足を踏んでいるようだった。

「笑わない。誓って笑ったりするものですか」

「わ、わかった。じゃあ、三つ数えたらそっちへ行く。さん、に、いち……!」

 ゆっくりと進み出た翠は、白く澄んだレースで彩られたドレスに身を包んでいた。

 袖付きのクラシックなヴィンテージの衣装はまるで花嫁衣装を身につけているようだった。

 花模様の刺繍やビーズ細工で襟や袖が飾られている。

 有り体に言って、とてもよく似合っていた。

 一瞬、その場の誰もが息を呑んだのが分かった。

 翠は元来愛らしい少女だ。だが、それだけではない。死の影をまとっているが故の幽けき美貌――そう呼べるある種の説得力が今の翠の佇まいには宿っていた。

「……ちょっと、何かいってよ! やっぱりおかしいんでしょう。春さん!」

「おかしくないよ。とてもよく似合っている。僕が独占してしまうのが勿体無いくらいに」

「なっ、あっ! 今は恥ずかしいの禁止! 禁止です」

「どうして。僕が言ったのはおねえさんや秋月さんにも見せてあげたいって意味ですよ」

「……それは、そうだけど」

「あとで翠だけでも写真を撮ってもらいましょう。きっと記念になるから」

「そうだね。わかった。おれに残せることってそれくらいしかないだろうし」

「……うん。それじゃあ、行きましょうか。館内なら好きなように歩いていいとのことですし、いつもみたいにを楽しみましょう。さあ、翠」

 春は翠の手を取った。翠がおずおずとその手を握り返す。

「春さんもなんだか昔の映画の人みたいだ。すごくよく似合っているよ、伯爵様」

「ありがとう、花嫁さん」

「エスコートしてくださる?」

「よろこんで」

 はにかむように笑って、翠が後をついてくる。

 二人はそのまま二階に上がった。かつて市民の憩い場だったホールは今も健在で、大広間の床は磨き抜かれている。

 今は二人の他には誰もいない。

「踊ってくださる? ……なんちゃって」

「いいですよ。踊りましょう」

「なっ、なな、冗談、なのに。だいいち、春さんって本当に踊れるわけ?」

「一応、一通りのことは教わってきたつもりですけど」

「そんなのどこで習うのさ」

「内緒です」

 それでも、春が差し出した手を取り、翠はおっかなびっくりリズムに乗ってステップを刻む。

 音楽などない。けれど、そんなことはどうだってよかった。

 翠が身を任せれば春がリードし、二人はしばらくそのまま物語の中の住人のように緩やかに踊り続けた。

 誰かがきても構わなかった。

 ずっと二人で。二人きりで。

 ――こうして踊り続けていよう。

 ただそれだけを思っていた。


 バルコニーの向こうに広がる風景は雨。

 紫の雲が鈍色の海と出会う境界がかすかに滲んで映えていた。

 短い夏の終わりを告げる晩夏の空模様だった。




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