第13話 白い花を手折るように〈上〉



 翠の背後で扉が閉まる。

 春は眩しいものを見るように目を眇めると翠を抱き寄せた。

 最初は優しく、徐々に強く、そしてきつく。

 髪の香りに、タバコの匂い。それに春自身の匂い。素直に自分の知っている体だと思えた。

「翠さん。……翠」

 春が翠の名前を何度も呼んでくれた。

 分かっている。春は自分を欲してくれている。

 肩口を鼻先と唇が滑り、口付けが落とされ、そのまま唇を奪おうとして近づく口許を、しかし翠は指先でそっと制止した。

 ゼロ距離で翠を見つめる春の青い瞳が揺らいでいる。

「一旦ストップ、です。おれ、来週から入院で、これがたぶん最後のデート。だから、いつもみたいにちゃんとしてほしい。それに……おれも、その、準備、とかいろいろして、きたし……」

 結局最後は消え入りそうな声になってしまった。

 春が低く笑って、やや気恥ずかしそうな苦味の勝る笑みになった。

「わかりました。まずは部屋かな。しっかり片付けて、それからお風呂にも入ります。もちろんお店を休んでしまったことをマスターにも電話をしてお詫びする。そうしたら夕飯にして、その後はまた一緒に映画をいっぱい見ましょう」

「うん」

「そして、前に話したように、キスだけじゃなく、もっとたくさんいろんなことをしましょう。僕は色々な翠が見たいから」

「……そういうの、いいから」

「嫌ですか」

「……嫌、じゃないけど。っていうか……言わせないでください、ばか」

 恥ずかしくなった翠がまごつくのをみて、春はからからと笑ってくれた。

「そうと決まればまずは部屋を片付けようか。僕、気合いをいれて汚しちゃったから。ソファで待っていてくれますか。適当に雑誌でも見ていてくれたら助かる」

「いや、おれもお手伝いします。二人でやったほうが早いでしょ」

「では、お言葉に甘えて」

 春が散らかったゴミをまとめていき、翠は散らかった毛布や衣類を集めて、必要なものを洗濯機に放り込んだ。

 空気を入れ替えるために開けた窓から、夏の夜の風が吹き込んできた。川の匂い、濡れた草木の香りが鼻を掠める。

 元が家具や持ち物の少ない部屋であったこともあり、洗濯機を回しながら掃除機をかければ、ほとんど元通りのこぎれいな部屋に戻すことができた。

 風呂に湯を張りつつ、春が洗面所のスペースに洗い終えた衣服やタオルを干してゆく。

「脚の傷の加減はどうですか」

 ソファに座って衣類を畳む翠に、春が訊ねた。

「もうすっかり。一応先生にも見せましたし、薬も貰ったから」

「そうですか。ならよかった」

 洗濯物を干し終え、洗面所から春が戻るのと入れ違いに軽快な電子音のメロディが響く。

 どうやら風呂の自動湯張りが完了したらしい。

「お風呂が沸いたみたいだ。翠、よければ先にどうぞ」

「えっ、悪いですよ。それに春さんこそ早く風呂に入った方がいい」

「……む。僕、そんなに匂います?」

「いや、匂いませんけど。でも髪とか洗って、ひげも剃った方がいいかなって。だって、似合わないもの」

「単直にひどい!」

「元があんまりひげとか生えないタイプなんでしょうけど、だから余計に変かなって」

「むう……そう言われたら少し気になってくるな」

 言って、春は自分の口許を手指で触れて撫でている。

「そうでしょう。だから先にどうぞです。それともいっそ一緒に入りますか? おれ、他人の髪洗うの得意なんですよ」

 冗談めかして言ったのだが、春は「ふむ」と考えた顔になった。

「いいね、それ。一緒に入りましょう」

「えっ、な。冗談、なのに!」

「冗談、なんですか? 恋人っぽくて素敵じゃないですか。それともやめておく? それなら僕は厚意に甘えて先に入り」

「……待って。やっぱり、一緒に入り、たい」

 翠は慌てて立ち上がると、春のシャツの端を捕まえて、背中にそっと縋った。

 そのまま脱衣所に行き、悪戯でも働くようにして互いの服を脱がせ合った。

 下着だけになった翠はほぼ同じ状態の春の姿を見て、頬を赤らめた。

「……春さんって、以外と……男の人、なんですね」

「え。なに、どういう意味で?」

「体つき、けっこう鍛えてるのかなって。それに、傷、とか」

「昔、すこしね。翠も、そのお腹」

 翠の胸から腹にかけては幼い頃に手術をした後が残っている。

 互いの傷跡すらも晒し、こうして向かい合っていることが翠には少しだけ不思議なように思えた。

「痛かった?」

「ほとんど覚えてないけど、多分……はい」

 春の大きな手が、翠の傷跡に触れる。

「あの、傷はあんまり……恥ずかしい、から……」

「これはきみが病気と戦ってきた証だから、恥じるようなものじゃない」

「……それじゃ、春さんの傷も、同じですよ」

 互いの体に触れ、どちらともなく口付けを交わす。角度を、深さを変えて何度も、何度も。

 しばらくそうしている最中に、春の手が翠のショーツとブラジャーを引き剥がした。

「……手慣れていて、ちょっとムカつく」

「ノーコメント」

 春は自分の下着も脱いでしまうと、翠を抱き抱えるようにして浴室へと移動する。

 互いの肌が直に触れ合い、翠は境目がわからなくなるような感覚を覚えた。

 この体が邪魔だと、もっと――ひとつに溶けてしまうくらいに触れてほしい、そう願っている自分がいることに気づかされた。

「翠、もう少し離れて。もっとよく見せてください」

 もう互いの姿を隔てるものなどなく、言葉に従えば、翠は己のすべてを晒すことになってしまう。

 しかし、翠は胸の前で隠していた手を退けて春の言葉通りに裸体をさらけだした。

 膨らみきらない胸も、つつましやかな秘所までも。

 病気のせいで発達の遅い体は華奢で、あちこち骨ばっていて、痩せた犬のよう。

 こうして全てを見せてしまえば、春の心が自分から離れてしまいそうで怖かった。

「翠は、とてもきれいですね」

「そう、かな。こんな体、おれは大嫌いなのに」

「そんなことはないよ」

 温められた水の匂い。たちのぼる湯気で呼吸が少し浅くなっている。

「……っ」

 翠は自分の胎が窄まり、きゅうきゅうと疼くような痛みに耐えていた。

 痛みの正体はもう知っている。でも、その疼きを満たす術をこれまでの翠は知らなかった。きっと、今はじめて知ることになる。

「翠、いい?」

 言葉はいらなかった。

 翠が小さく頷くと、春は翠の体を抱え、片脚を上げさせる。

「あ……の、少し、こわい、から……やさしく、して」

「大丈夫。力、抜いて。ゆっくり、しますから」

 それから春は翠を十分に馴らしたあとで、その体を貫いた。春の腕の中で翠が声を上げて善がり、完全に果ててしまうまで、その密やかな行為は続けられた。



「春さんも、髪洗うの上手ですね」

 行為の後。

 翠が落ち着くと、春は翠の髪を洗ってくれた。

 泡立てたシャンプーで翠の髪を包みながら、頭皮をマッサージするような手つきで丁寧に揉み込んでいく。

「さっきはちょっと強引で、おれがだめって言ってもきいてくれなかったのに。こういうことばっかり上手くて、少し複雑。いったいどれくらいの女の子を泣かせてきたのさ」

「……そういうことを言われると反応に困る、というか。それに、翠の〈だめ〉は〈もっと〉って感じに聞こえましたし」

「キシャー!」

「うわっ、冗談なのでやめて! 目を狙うの禁止! だいいち今の僕が好きなのは翠だし。だから勘弁してくれるとありがたい、かな」

「……またそんなことばっかりいって」

 そっぽを向く翠の髪をシャワーで緩く洗い、シャンプーを落とす。泡を洗い流すと、今度はシトラスの香りのトリートメントをつけてくれた。

 そうして互いの体を洗い終えると、翠は春に背後から抱かれるようにして湯に浸かった。

「なんだか、いろいろありすぎて一ヶ月間あっという間でした」

 翠が言うと春も「同感」と答えた。

 葬式で翠が春と邂逅してから、一ヶ月と半月ほどの時間が過ぎようとしていた。

 映画館や水族館、それに春の自宅での逢瀬に、〈雨男〉――ルリとの遭遇。それに夏雪と名乗る殺人者の襲撃。

 これまで病と共に死と隣合わせで生きてきた翠にとっても非日常と言えるようなことばかりに見舞われた濃密な時間だった。

「……なんか、春さんってちょっとアレな人に好かれすぎじゃないですか」

「むう。でもそれはちゃんと自分も含めているのかな」

「含めていますとも。おれは都合が悪くてイイ女の枠ですよ」

「それなら仕方ないですね、認めよう」

 翠が首を後ろに傾けると春は触れるだけのキスをくれた。

「本当に、いろいろありすぎだ」

 春が苦味の勝る笑みを浮かべながら翠と同じ言葉を反芻した。

 複雑そうな響き。少なからず自分がそこに関与していることを翠ももう自覚していた。だから敢えて明るく振る舞う。

「あとの二ヶ月もおれは大人しくしているつもりなんてないんだから、最後まで覚悟していてくださいね」

「わかっています、お姫様」

 翠が冗談めかして言った言葉に、春も冗談で返してくる。

 湿気で溢れた前髪を春の指が耳にかけてくれた。

 雫が落ちる音が響き、心地よく耳朶を打つ。

 二人はそのまましばらく湯浴みを続けた。


  §


「いただきます!」

「……いただきます」

 ほぼ声を揃えて言い終えると、翠はサラダに手をつけ、春は輸液パックにストローを差し込む。

 お互いに選ぶメニューは違えど、こうして共に食卓を囲むことはできる。

 春はもう翠の前で無理を働くことはなく、敢えて隠そうとはせずに血を口にしている。

 一方の翠は普段通りの夕食――多少春に合わせて肉食に偏らせてはいるが――を摂っていた。

「今更ですけど、春さんは……血じゃないものを食べたりしても平気なんですか?」

「ええ。多少は、だけどね。やっぱりこれがないとだめみたい」

 手に取った輸液パックを示して春が苦く微笑む。

「そう、ですか。今まで、おれの前で無理をさせてごめんなさい。でも、楽しかった。映画を見ながらポップコーンを食べたり、お茶したりするのも。だから、ありがとう」

「僕も楽しかった。それに無理をしていたのは僕が怖がっていたからです。僕が拒まれ、君を失うことが恐ろしかった。だから、謝らなくていい」

「……もし、おれの血をそうやって保存できたとしたら。おれも春さんに自分の血をあげられるのかな」

 翠がふと口にした言葉に春は少しだけ驚いたようだった。

 しかし、すぐに元の笑顔に戻ると手を軽く振って否定してみせた。

「それは……翠が考えなくていいことです。それより、ほら、晩御飯の手が止まってる。せっかく作ったんだから、ちゃんと食べて」

「ですね。そっちの若鶏のからあげ、どうです? ちゃんと揚がってるかな」

「絶品」

「よかった。姉さんに習っておいた料理がやっと役に立ちました」

「前々から思っていたんですが、本当にきみのお姉さんは何者なんです。あんなに美人で、翠の状況からしても怪しいであろう僕を許容し、なおかつ料理まで上手だなんて」

「姉さんは……そうですね、なんていうかスーパーお姉さんなのですごいんですとしか言えないな。本当に頼りになる優しい姉なので。今日もここまでくるのに喝を入れてもらったくらい。今夜は帰ってきたら許さないって」

「そ、れは……返答に困るな」

「でも。帰す気、ないのでしょう」

「……ない、ですけど」

「よかった」

 照れもせずににこにこ笑う翠に、春の方がたじろぐ始末だ。

 それでも笑いは絶えず、つつがなく夕食を終えると、二人で後片付けをして洗い物を済ませた。春はバー〈proof〉のマスターである小此木に連絡をし、これまでの欠勤をしっかりと詫びていた。幸い小此木はさほど怒ってはおらず、かえって春の身を案じていたという。かくして春も週末から復帰という形と相成った。

 二人がベランダに出て一服すると、すっかり日も暮れて夜になっていた。

 夏至を過ぎた七月の夜は前よりも少し早く、そして長くなっている。

「あ」

 と、翠が声を上げる。

「なに?」

「……いや、星がきれいだなって。ほら、あそこら辺が天の川です。意外とはっきり見られてきれいでしょう。その両岸にあるのが、こと座のベガとわし座のアルタイル。わかりやすく言うと、織姫と彦星ですね。で、あっちがはくちょう座のデネブ。これで夏の大三角形というやつです」

 翠は手指で三角の形を作りながら事もなげに説明をする。

 高校の授業では地学を取っていたため、天体については少しだけ詳しい。できればもう少し勉強を続けたかったくらいには好きな科目であった。

「ここは川が近いから、うちよりもはっきり見えていいな」

「翠はなんでもお見通しだね」

「へ? おれ、なんか変なこといいました? あ、もしかして女子高生が星とか語っちゃって中二病だとか思ってます?」

「思わない、そんなこと」

「じゃあどんなことを考えていたのさ」

「前に一人で煙草を吸いながら、どれが夏の星なのか分からなくて、翠なら詳しいかなって考えていたから、つい驚いて」

「それは……うれしい偶然かな。自然とか星とかは小さい頃から好きですよ。だって、自分の命のこととか考えるのとあまりにスケールが違っていて、気が紛れるし」

 春は答えなかった。言葉を探しあぐねているのかもしれない。

 困らせるつもりはなくても、自分の存在がいつも誰かの枷になっている気がして、翠の中には常にいたたまれない気持ちがあった。だから、どんな他者とどのような関係性であれ、最後は自由でありたいと思って生きてきた。

 でも、今は違う。

 誰かの枷になりたいわけじゃない、誰かに枷になってほしかった。ただ自分を引き留めてくれる存在が欲しかった。それがきっと自分にとっての春なのだと思っていた。

「翠は自然が好き、か」

「うん、そう。おれのこと、また一個知ってもらえてよかった」

「僕もよかった。……僕の部屋、たいていは暗くしているでしょう」

「ん?」

「だから、たまに出るんですよ」

「えっ?」

「ゲジとか黒くて小さいあれとか! わかるでしょ!? 自然が好きなら今度から翠に対処してもらえるじゃない」

「最低です。それにそういうのはおれも嫌い。同じ部屋の住人として仲良くジメジメ暮らしてあげてくださいよ」

「わ、ほら! 言ってるそばからあそこにやたら大きいムカデが!」

 春の言葉に翠も部屋の隅で蠢くものを見た気がして悲鳴を上げ、隣の春の腕に縋り付く。

「……なーんて。嘘ですよ」

 恐怖が最高潮に達しかけた瞬間に春が舌を出して白状する。

 翠は縋り付いた腕をばしばしと叩いて抗議したが、それもまた楽しかった。

「春さんといたら、おれ、全部忘れて、なにもなかったみたいになれる。なんの事情もリミットもないただの女の子みたいにしてもらえることが、とてもうれしいことだって、はじめて分かった。けど、こんなのって狡い話だよね」

 春は表情を変えずにただ目で頷くだけ。ただ、その眼差しはどこまでも優しい。

「僕も、翠が僕を好きでよかったですよ。違う、か。僕を好きなのが翠でよかった」

「……急になに」

「最初は、僕が怪物だってことを忘れさせてくれる都合のいい女の子だと思っていたかもしれない。それだけなら、きっとどこにでも代わりはいた。でも、翠は僕が怪物だということを受け入れて、変えられない現実を突きつけてくれた。鏡に映らない僕の姿を。だから、本当に翠でよかった」

「おれたち、おかしいですよね。狂っていて、それにきっとどこまでも〈かわいそう〉なんだ」

「それは――違いない」

「でもね、おれは狂ってはいても、きっとふつうに春さんが好きなんです。それは本当、だから」

「……うん」

「信じて、欲しいから」

 翠はそれ以上言葉を紡ぐのをやめた。もうこれ以上言わずとも平気だと確信したからだった。

 春は自分を信じてくれている。これ以上ないくらいに、つよく。

 見つめあって、どちらともなく口付けを交わした。

 煙草の味と、そうではないお互いの味がした。少しだけ、血の味が混ざっている気がした。

 幾度も口付け、次第に深く抱き合い、窓を閉めて寝室へ戻る。

 寝台に腰掛けた翠のシャツを剥いで、体のあちこちに口付けながら春が翠を押し倒してゆく。

 長い黒髪が花びらを散らすように翠の顔のまわりに零れた。

「おれの血、吸っても、いいんですよ?」

「……それだけはしない」

 繋いだ指が強く握りしめられる。翠は春に身を任せながらその名を呼んだ。

「春、さん」

「……なに」

「やさしく、なくて、いいから」

「なん、で」

 翠を暴きながら、春が不思議そうな目をする。

 翠は次第に深くなる愛撫に身を任せながら告げる。

「お風呂場の、とき、みたいにしなくて、いい……から。春さんのぜんぶ、が、ほしい。全部が、ほしいの。だから、痛く、して。ひどくして、ほしい」

 翠は腕を伸ばし、春の背を抱く。春は無言で動きを激しくした。

「なか、……き、て」

 翠が消え入りそうな声で懇願すると、春は了承したようだった。

 互いが果ててしまうまで、二人は何度も抱き合い、互いの体を暴く行為に耽った。



 夜明け前。

 太陽が昇る直前の短い時間。

 自分の中に幾度も棘を残し、眠りに落ちた春の瞼に、翠はそっと触れて撫でた。

 きれいで潔い輪郭だと思った。どこか浮世離れした外国の俳優のような顔立ちと佇まい。初めて見たときからずっと惹かれていた。

 まだ胎の奥が熱い気がして、次に自分の腹に触れてみる。

 何も宿ることのない空虚な体。その奥底に春は何度も傷を刻み込んでくれた。それだけでよかった。

 翠は薄く微笑むと春の瞼にキスを落とした。

「おやすみなさい」

 それを告げるだけでは足りない気がした。別れの言葉が必要だった。それに、なにより感謝の言葉も。

「ありがとう。さよなら」

 音を立てないように立ち上がって、散らばっていた自分の服を着る。

 陽の光が春の眠りを妨げぬように厳重に窓を閉ざしてから、靴を履いて部屋を出た。

 川から立ち上る露草の匂い、濡れたアスファルトの匂い。嘘みたいに静まり返った街の静寂。

 今日も暑くなるであろう、その気配を孕んだ夜明けの空気はしかし、まだ澄んでいた。

 日が昇る前の街を歩き、翠はその場を後にした。

 何も怖くはなかった。

 ひとりきりでも歩いていけると、そしていつでも終えることができると、ただそれだけの願いと祈りを抱いて。

 翠は自宅までの道のりをひとり、戻ることができた。


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