第17話 ダンジョンでの襲撃
バイト生活にも慣れてきた頃。
授業では次の段階に入っていた。
「みんな、E級ダンジョンは問題なく攻略できるようになったなぁ。今日からD級ダンジョンに潜る」
教室がザワついた。
なぜなら、通常は一年の最後に潜る予定だったからだ。
「このクラスが優秀だということ。あとは、優秀が故なんだが。早くもダンジョン協会の方からダイバーになって欲しいと打診が来てるやつがいる」
なんと。そんな人がいるんだ。
みんな頑張ってるもんね。
「そこの黒襟、お前だよ」
「えっ? 僕ですか?」
「よく毎回、そんなに新鮮に驚けるな?」
「いやいや、僕なんて……」
ダイバーじゃない職業探そうとしてたのに、ダイバーしか道がないんじゃ嫌だよぉ。
「まぁ、まだ一年だからと言うことで突っぱねてはいるがどこまで抑えられるかわからん」
そんなの嫌だなぁ。まぁ、でも卒業資格を早く貰えれば学費もかからないのか。それならそれでもいいかもな。
「今日のダンジョン探索はパーティで挑んでいい。そこの四人だな?」
「そうなりますね」
皆と行けるんだ。
それは嬉しいなぁ。
「やったね! リオンくん!」
エリスさんが喜んでくれている。
バアルくんも嬉しそうだ。
カーラさんはなんだかソワソワしている。
今日のダンジョン探索はなんだか楽しいことになりそうだ。
学院の裏には広大な森がある。
そこにはダンジョンが溢れているらしい。
「今回、D級ダンジョンと分類がされているところに潜る。助けはこないと思え。危なければこれを使うこと」
また煙玉型の転送装置だ。
今回は本当に助けには行けないだろう。
みんな無事で。
「これの中から好きなところを選べ」
タブレット型の端末に送られてきたのは地図と大体のダンジョンの位置。そして、自分の位置だ。
クラスメイトは続々と近くのダンジョンへと入っていく。
まぁ、僕たちは少し離れたところでもいいかな。
少し奥へと行くことにする。
その選択が今後を左右することになるとは。
この時はひとつも思っていなかった。
「ここに入ろっか」
「そうだねー」
「オレが先頭を行くよ」
バアルくんが先頭をかってでた。
さすがイケメン。みんなの盾になるってか。
こういうところを見習いたいね。
ちなみに僕は目立ちたくないから一番後ろ。
D級だと敵は大体オークかな。
重量はあるから攻撃は重いけど、動きが鈍いから倒しやすいと思う。
「ストップ! 罠だ!」
よくわかったね。
凄いじゃないかバアルくん。
罠探知の能力が上がってきていて凄いなぁ。
D級は五階層までが殆どだから気を抜かずに行こう。
ダンジョン探索は順調だった。
オークもバアルくんが斬りつけてエリスさんとカーラさんが魔法で攻撃する連携がかたにはまっていた。
何も問題なさそう。
ただ、戦闘痕がある気がするんだよねぇ。
気のせいかな?
普通ダンジョンは一回毎にダンジョンが改変されるはず。
戦闘痕が残るとすれば誰かがいる?
順調に進んだ僕達は五階のボス扉の前に来ていた。
「開くよ?」
重厚な扉が悲鳴を上げて口を開けた。
その先にいたのは。
「あぁー。いらっしゃーい。バアルくんだっけ? 学院の首席なんだよねー? すごーい! そしてイケメーン!」
胸元がざっくりと開いた黒装束の髪の長い女が、血濡れの大剣を担いで待っていた。
「あなたは誰だ!? ここで何してる!?」
「それはー、あなたを連れていくために来たのー。着いてきてちょーだい? 着いてこないと他は死んでもらうわぁ。あっ、人族は問答無用で殺すわぁ!」
これはただ事ではないな。
僕が前に出ようか。
「ん? あんた何? 資料になかったねぇ。って事は雑魚だぁ」
大剣を振りかぶって間合いを詰めてきた。
仕方ない。
真っ向から受けようか。
手を添えて受け止める。
身体強化しているんだろう。
思いのほか重く、僕を中心に蜂の巣状の亀裂が入る。
「へぇぇ。受け止められるんだ?」
結構強そう。
でも、この大剣がなければいいんでしょ?
指に力を入れ握り潰す。
亀裂が入り砕け散る。
「はぁぁ!? 何なのこいつ!?」
のこった柄をこちらに投げてきた。
それを叩き落とすと、同時に蹴りが放たれる。
足を掴み床に叩きつける。
轟音が響き渡り、クレーターができた。
血を吐き悶える黒装束。
ポイッと捨てる。
「クソッ! こんなの聞いてない! ……ゴフッ! このままで終わると思うなよ黒襟!」
その女は転送魔法で消えていった。
何だったんだ?
「なんか。オレを狙ってた?」
「そうみたいだね。首席とか言ってたし、成績のいい人を狙ってたのかな?」
バアルくんは不安そうだ。
これからの授業でも襲撃の心配をしないといけない。
「は、ははっ。私、恐かったぁ。体が震えてる」
「わ、ウチも。なんのことやら」
そうかもね。殺気ビンビンに放ってたし。
エリスさんとカーラさんには少し刺激が強かったかも。
少し休んで落ち着いてから戻ることにしたのであった。
あの感じだとまた襲撃があってもおかしくない。
僕達はホールに戻ると先生に報告した。
帰ってきたのは予想外の答えだった。
「お前達もか」
「他にもいたんですか!?」
あの
「デームが連れていかれた」
僕の胸に衝撃が走った。
せっかく仲良くなれた仲間を連れていかれたのだ。
「自分でついていったそうだ。そうすれば誰も襲われないからと」
なるほど。こっちの人ほど好戦的ではなかったみたいだ。
「予想外だった。奴らが学院生にまで手を出すとは」
「奴らを知ってるんですか?」
「奴らは国家転覆を目論む、超過激派組織、
そんな組織があったなんて。
デームくん。
必ず取り戻すよ。
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