亡霊のピアニスト

南 コウ@『異世界コスメ工房』発売中

プロローグ

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高崎駅の東口には赤いグランドピアノが設置されている。誰もが自由に演奏できるストリートピアノだ。


ピアノの脇には「案内人」を名乗る初老の男性が佇んでいる。彼は訪れたゲストにこう語った。


「こちらのグランドピアノは、どなたでもご自由に演奏できます。開放時間は10時~20時。時間を守ってお楽しみください。もし利用時間を過ぎてもなお、この場に留まっていると、とあるピアニストと遭遇してしまうかもしれないので……」


男の含みのある言い方が引っかかり、詳しく話を聞いてみることにした。


すると男は、物腰柔らかな口調で語り出す。


ストリートピアノにまつわる、亡霊の物語を――。

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