第17話 変な夢
夢を見た。
浅い眠りだからだろう、とてもぽわぽわした、登場人物の顔すら
そこは図書室の一角で、他にひと気はない。棚と棚に
女子の方はなんだか落ち込んだ様子で、頭をうつむけていた。
一方で男子の方は、表情はわからないけど、なぜか
「うんうん。そっかそっか。それは大変だったね」
「……うん。ごめんね。こんなこと話して」
「いやあ。それは別に。ぼくは記憶力わるいからさ。壊れかけのラジカセみたいと思ってよ。叩くとなにも録音してないんだ」
「えと……」
「あー、ごめんごめん。父さんがジャンクショップのオーナーだから、
もうちょっと寄り添ってやりなよ。顔もわからないだれか……。
「でも、ちょっとした気晴らしなら提案できるよ。思うに、考えすぎなんじゃないかな。気に
うん、だからさ。もっとリラックスしようよ。なにも気負わず、単純に笑ったり喜んだりすればいいんだ。背負っているものは
「……でも、具体的にはどうやって?」
そこで、
確かこう提案したんだ。
「うん。それじゃあ今から一か月間、具体的には終業式までか。ぼくとここで毎日話そうよ。いや、嫌だったら別にいいんだけど。だいじょうぶ。ぼくは口は硬い。さながら噛み合わなくなったジッパーのようにね。ギギギギギ。……ごめんね、変なやつで。こほん。とにかく、秘密は守るよ。他人にも、自分にもね。だから――――さん、今日からキミは――――」
約束はまもる。
たいしたことない人間だからこそ、こんな大きな世界の学校でそれを知ったからこそ、ぼくは、せめてそれくらいはできる人間になろうと思った。
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