ある日からのラブコメ~黒紫憧《こくしどう》さんとの通学路~
まっすぐこの道
第1話 新学年初日の通学路①
あ、そう言えば今日から高校二年生だ。
ぼんやりちまちま人生のレベル上げをしていたら、いつの間にかその日の朝となっていた。
顔を洗って鏡を見れば、心機一転したいけどなんだかんだ無理なんだろうなー、
ぼくの名前は
トテトテと廊下をあるく。よく高校生活は『バラ色』とか『青春の輝きに満ちている』とか言われるけど、だいぶ脚色されているよね。だってぼくの高校一年間は、要点をまとめたら三分で語れそうな、そんなインスタントなものだったし。味気ない、というか、しょっぱい。灰色の記憶がぽんぽんと浮かんできそうなので、心の鍋蓋でフタをする。
リビングに入ると、ジャム塗ったトーストを
「おー、おにいちゃん。今日もいい事が起こりそうで起こらなそうな、ぼんやりした顔してるねー」
今年で小四になる我が妹は、兄を敬うこともなく、そう
手をこまねくと、なんの警戒心もなくトテトテと近寄ってくる妹。バカめ! 膝の上に乗せ、頭を軽くグリグリとする。きゃっきゃっとはしゃいだ声が聞こえてきた。さては反省してないな?
「新しい学年、なにか良いことあるといいね。おにーちゃん?」
「平穏が一番じゃよ。のう、よるねよ」
「悟ったおじいちゃんみたいになっちゃったね。おにーちゃん?」
「できたてホヤホヤの高校二年生に失礼じゃと思わんか。なあ、よるねよ」
じつに実のない会話を済ませ、互いにトーストを端から端までサクサクと
玄関から通学路へと向かう途中、気持ち早めに歩いていることに気づいた。『新学年』というワードにいつの間にか浮かれていたみたいだ。いかんいかん。年度が新しくなったからと言って、景色や人生が変わる訳でもない。変わったら超常現象だ。FBIに連絡しよう。いつもの歩調へともどる。
そうして家の塀を横切り、通学路に一歩踏み出した時、けれどいつもの光景に一つの変化が訪れていた。
「――あ、おはよう
予定にない待ち人の姿がそこにある。
彼女の名は――たしか、
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