20240111 輝く水色の手帳と墓前で嫉妬
なんで思い出したのかは不明。
小学生の頃、祖母に連れられて行った山里の親戚宅。
胸当て付きのジーンズをはいて行った私。今でいうとサロペットになるのかな。
その胸当て部分のポケットには、お気に入りの水色の手帳をしまっていた。
コマ送りで思い出が蘇る。
朝からお邪魔して、お昼もごちそうになる。
当然トイレにも行きたくなる。
山里。
ぼっとんトイレ。
サロペット。
肩ひもを外す。
胸当てが逆さまになる。
ぼとっ。
何かが落ちた音。
便器の穴を見下ろす。
地獄の中に輝く水色。
祖母に泣きつく。
「バカだね。早くおしっこしておいで」
容赦ない祖母の言葉。
ぼっとんトイレが怖くてトイレを我慢していた私。
「もらしたら着替えはないんだよ、諦めな」
ここで記憶が途切れる。
輝く水色の上で、しちゃったのか、しなかったのか。
しちゃったんだろうな。
前回祖父母のお墓参りに行った時、お花をお供え出来なかった。
いつもお墓に行く道すがらの生花店で買っていたのだけど、その日はシャッターに貼り紙が。
「臨時休業いたします」
一目で読み取れる絶対的な活字の前で、しばし立ち尽くす。
駅に戻ればどこかしらで調達は出来るだろうけど、駅までは歩いて30分。お墓はすぐそこ。
で、お花なしのお参りを選んでしまった。
「お供え出来なかった」というより「しなかった」の方が正解かな。「しなかった」って、随分と聞こえが悪い。
薄情者~!
人でなし~!
って、言われそう。祖母に。
墓石には、祖父母と、祖父母の長男夫婦、そして、私の義母の名前が刻まれている。父が再婚した女性の名前。
朗らかで優しい人だった。
名前にちゃん付けで呼んでいた。
一緒に暮らしたことはない。
その義母に嫉妬している。
だって、私は祖父母と同じお墓には入れないから。
羨まし過ぎる。
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