闇堕ちラスボス令嬢の幼馴染に転生した。俺が死んだらバッドエンド確定なので最強になったけど、もう闇堕ち【ヤンデレ化】してませんか?
オーミヤビ@1/24書籍発売
執事編
第1話 転生したら乙女ゲーのモブでした
「ねぇ、アルクス?今日話してたあの女は誰ですか?」
「いや、あれはですね……」
「言い訳なんか聴きたくありませんっっ!!!」
俺に絡みついた、触手にも似た黒い魔力が迸る。
常人なら一瞬にして意識が飛んでしまうレベルだが、俺からすれば蚊に刺された程度でしかない。
でも、それにしても…だよな。
彼女も無意識なんだろうけど、ちょっと手厳しいなと思う。
どうしてこうなったかなぁ。
これまで彼女の、いや、このラスボス令嬢の闇落ちを回避してきたつもりなのだが。
***
俺、アルクス=フォートは転生者である。
といっても、前世のことを詳しく覚えているわけではない。
名前も出身も、個人に関することはほとんど記憶にない。強いて言えば、地球という星の日本という場所からやってきたということか、
そしてあるいは、この世界が前世における【乙女ゲー】の世界であるということか。
『セレスティア・キングダム』というタイトルで、「百の運命に巡り合う」と銘打たれたその作品。
素朴な庶民の主人公が、ひょんなことから貴族の学園に入学し、幾人のイケメン達と出会って恋に落ちるというありがちなストーリー。
しかし特筆すべきは、そのストーリー分岐の多さ。
百の運命と豪語するだけあり、一つの作品で多くのストーリーを楽しむことができるということで、大きな人気を博した。
で、俺が転生したアルクス=フォートという人物は……どのストーリー分岐でも名前が出てこない。
つまり、モブであった。
個人を特定できる記憶はないというのに、何故かセレスティア・キングダムについての記憶は多少残っている。
そしてついでに、俺がめちゃくちゃやりこんでいたプレイヤーである、ということも朧げに覚えている。
その記憶を持ってしてもアルクス=フォートというなんともサクサクしたお菓子のような名前の人物は覚えがない。
十中八九、モブであろう。
いや、まぁ。
下手にネームドになっても大変そうだし?
別に良いんだけどさ?
でももうちょっと、なんとかならなかったのか。
本編の舞台は王都の貴族の学院であるのだが、俺はそんなものとは縁もゆかりもない、片田舎のど平民。ついでに孤児であるという属性もひと添え。
つまりせっかくのゲーム世界だというのに、あんなキャラクターやこんなキャラクターと出会うのが難しいということだ。
一介のゲームプレイヤーとしては実に残念なことだ。
まぁ、もとよりお近づきになれるとは思ってないし、世界自体はいわゆる剣と魔法の超ワクワクなタイプだ。
それなりに頑張って生きてみよう、と思っている。もしかしたらひょんなことで、ネームドキャラと会えるかもだしな。
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