蒼き操獣少女は異世界奈落を今日も舞う!
幾橋テツミ
第1章 ティリールカの守護神
第1話 戦嵐の貴公子、“異世界の恋人”を苛む
青い薄闇を、艶めかしい喘ぎ声が震わせていた。
だが、身悶えする美女を責め苛んでいるのは、人ではなかった。
例えるなら、それは赤い燐光を発する巨大なイソギンチャクである。
直径1.5メートル、長さ2メートル近いぬめぬめとした円筒形の胴体部分は10メートル四方ほどのがらんとした部屋の中央部にどっかりと鎮座し、先端から生え出た全長4メートルの十数本の触手が不気味に蠢きながら、捉えた全裸の日本人美女をおよそ3メートルの空中にリフトアップしている。
「あっ、ああ…!
ゼ、ゼド…あなたは私をどうしようというの…!?」
美しい声で窮状を訴える彼女…萩邑りさらのプロポーションは完璧であった。
水平に伸ばされた両腕に1本ずつ、揃えた長い両脚に3本、さらに盛り上がったバスト及び見事にくびれたウエストに2本ずつ…そしてのけ反った白い喉元に1本の、悪夢から這い出たかのごとき毒々しい触手にいやらしく絡みつかれ、細かく揺すぶられつつ締め上げられる美女は何度目かのかすれた悲鳴を上げた。
「うっ、くうッ…。
く、苦しい…!
こ、このままじゃ、私…頭がおかしくなりそう…!」
だが、凌辱はここからが本番であった。
残りの5本の触手が波打ちながら、あたかも悪魔のざらついた長い舌が舐め回すかのようにようにりさらの肌を這いずりはじめたのだ。
中でも、屹立した双つの鴇色の乳首と両腋下、そして流線美の極致のごとき臀部には特に執拗な攻撃が加えられる…。
「はッ…ああああっ!
や、やめてゼドッ!!
あ、あなたは私を殺す気なのッ!?」
ここではじめて、触手怪物の傍らに立つ白い影は身じろぎした。
調えられた艷やかな銀髪にラージャーラ人特有の青白い肌、高い知性と勁い意志を否が応でも感得させる碧い瞳が煌めく美貌の主は全身を覆うクリーム色のローブをまとい、年齢にそぐわぬ威厳を発散させている。
ティリールカ愛華領の若き教率者・ゼド=メギン…だが、“異世界の恋人”の懇願にもかかわらず、その厳しい表情にいささかの変化もない。
「リサラ…私とてこのような手段は取りたくはない…。
だが、君は私の未来の妻という公の立場を忘れ、とんでもなく恥知らずな姿を教民の目に晒したのだ…!
──そして、その証拠はこうして明らかになっている…」
彼が右手を翳すと、正面の壁に1メートル✕2メートルほどの横長の画像が浮かび上がったが、そこに映し出されていたのは、絆獣聖団の後輩である那崎恭作と
しかしこれを一瞥した瞬間、ゼドの表情が苦渋に歪んだ。
「何という破廉恥な情景だ…。
リサラよ…私はかねてより忠告していたはずだ、いつまでも古巣に執着すべきものではないと…。
君は、ティリールカ愛華領の教率者と手を携えてラージャーラの未来のためにその優れた資質を捧げるべきだと…!
それなのに…これは明白な裏切り行為でしかないッ!
このゼド=メギンのみならず、愛華領全教民へのッ!!
そして、罪には直ちに罰が下されるべきなのだッ!!
…だが決して、君に課したこの“恥辱の縛め”を愉しんでいるなどとは思わないでほしい…。
涙こそ流してはいないが、私は今、心中で慟哭しているのだッ!!
されど、この刑苦を味わうことでさすがの君も骨身に沁みたことだろう…。
では、ここらで解放するとしようか…。
ゆっくりとお休み…!」
首筋に巻き付いた触手がその緊縛をわずかに強めたことで、美しき操獣師はあたかも恩寵のように速やかに意識を失ったのであった…。
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