人物描写について
このエピソードを読んでいる皆さんは、自作で人物描写が苦手、もしくは自信がない方かと思います。
そんな時はプロの人物描写に学びましょう。次の文章はあるラノベの人物描写です。
「長くて真っ直ぐな黒い髪にカチューシャをつけて、クラス全員の視線を傲然と受け止める顔はこの上なく整った目鼻立ち、意志の強そうな大きくて黒い目を異常に長いまつげが縁取り、薄桃色の唇を固く引き結んだ女」
皆さんが考える時間を作るために空白を設けます。
答えは涼宮ハルヒの人物描写です。個人的な感想としては長文なので、読むのに苦労するなという印象です。あまりおすすめはしませんが、人物描写の一つの例でした。
次の例は『氷菓』の
※『氷菓』はラノベじゃない、という意見があるかと思いますが、米澤穂信先生が角川スニーカー文庫というラノベ系のレーベルに応募したのですから、米澤先生はラノベだという認識です。
「俺はこの時まで、楚々とか清楚とかいった語彙のイメージがつかめないでいたが、その女を形容するのには楚々とか清楚と言えば形容できることはすぐにわかった。黒髪が背まで伸びていて、セーラー服がよく似合っていた。背は女にしては高い方で、多分里志よりも高いだろうと思われた。女で高校生なのだから女子高生だが、くちびるの薄さや頼りない線の細さに、俺はむしろ女学生という古風な肩書きを与えたいような気になる。だがそれら全体の印象から離れて瞳が大きく、それだけが清楚から離れて活発な印象を残していた」
涼宮ハルヒとは違い程よく文章が区切られており、個人的にはこちらの方が好きです。
さて、二つの人物描写の例を出しましたが、共通して言えるのは「具体的で、かつイラスト化するのに向いている」ということです。
ラノベは表紙に主人公のイラストが載るわけですから、イラスト化を念頭に置いて人物描写をすべきです。
いきなりは難しいですから、逆にラノベの表紙のイラストを文章化してみることをおすすめします。本文に作者の言葉で書かれているのですから、答え合わせが可能です。この際、作者の表現と離れていても気にしないことが重要です。作者とみなさんの感性は違うのですから。
今回のまとめとしては「人物描写はイラスト化を念頭に置いて書く」です。短いですが、今回はこの辺で。
追記
これは個人的な感想ですが、『涼宮ハルヒの憂鬱』は2003年、『氷菓』は2001年刊行ですから、おおよそ同じ時期です。それなのに人物描写がここまで違うのは面白いですね。
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