第九話:Show刑TIME・前編
火貌中勝は真っ暗い部屋で両手を吊るされ、両足を縛られながら、目が覚めた。
辺りを見回し、睨む。全ては自らをこんな目に合わせた憎き
「やっと起きたか、バーニング・ファイター。いや、犯罪者、火貌中勝さんよぉ。」
そこに突然、光が差し込まれ、目に痛みが走る。その方向を注意して見れば、スマホを持ったシュンが嘲笑いながら、こちらを見て、傍にはを構えた奪が無表情で睨んでいた。
「この、屑野郎…! よくも、俺をこんな目に合わせやがって! 覚悟しろ、この! この!」
「瞬木シュンだ、覚えておけ! 愉快だったぜ、てめぇの敗北した姿はよぉ!」
「俺を人質にしてタダで済むと思うなよ! S.H.Aから俺より強い
醜くも見下そうとする中勝を彼に憤った奪が殴り、胸倉を掴み、締め殺そうとする。
「やめろ…この野郎…さもないと…訴えて…死刑に…」
「おい、シュン。やっぱり、殺した方がいいだろ。もう満足だろ、こいつの人生はもう終わりなんだから。」
「はっ…何言って…!?」
「おいおい、いきなり、ネタバラシすんなよな。まぁ、こいつを見せれば、後はどうでもいいが。」
そう言って、中勝にスマホの画面に映し出された動画を見させる。
そこにはカメラの光を当てる記者たちの前のテーブルに白い短髪と黒い瞳を持つスーツ姿の初老男性が立っていた。
「ええ〜、只今より
「ええ、先程、世間から公表しました通りに、バーニング・ファイター、いや、火貌中勝は無実の民衆を焼き殺しては、そのボヤ騒ぎを消火し、それをあたかも
「なっ、嘘だ!? 嘘だ!? おい、何で今更、バラすんだよ!? 俺が気に入らない奴を焼き殺したって、バレないようにしてくれただろ、テメェらお偉いさんはぁ!?」
謝罪会見を見せられた中勝は目を真っ赤にし、狼狽えた。
「お前の罪がやっと世間が認められたんだよ。いやぁ、世の中は捨てたもんじゃないなぁ。必死にあんたらの組織に脅して良かったぜ。罪を全部、放火魔であるお前に擦り付ければ、全て丸くおさまるってな!」
「黙れ! ふざけんなぁ! 何が罪だ! テメェらは俺に騙されていればいいんだよ! 要らない女やうぜぇ記者を殺されたくらいでいちいち正義面しやがって、騙されたこいつら民衆は死ぬまで馬鹿に悦を浸ればいいんだよ! 俺が正義だ! 民衆の一人二人以上殺した程度で罪人にさせてたまるか! お前らも、この動画を見た民衆も全部燃え死ねばいいんだよぉ、糞がぁ!」
「言ったな、認めたな。それではこれをどうぞ。」
シュンが冷たく言った次の瞬間、動画が切り替わった。そのアカウント名はShow刑TIME、そのサムネイルには"フェイク動画ドッキリ〜もし、偽の記者会見を見せたら、どんなポロリを聞けるか?〜"と書かれ、この部屋の風景と映し出された自分たちがいたことに気付いた。
「残念、さっきのは相棒の知り合いに作ってもらったフェイク動画、全部CGだ。お前の組織は名誉ある死として告別式にしようと思ったらしく、全然言うこと聞かなかったけどな、ポチっとな。」
シュンは懐の録音機の電源を入れ、スピーカーである音源を拡張した。
(お前らが全部、あの放火魔に罪を擦り付ければ、あんたらは安泰だぞ、どうしても、駄目か?)
(それがどうした! 貴様ら稚拙な犯罪者の言う通りにするくらいなら、あの糞な男を名誉の死を与え、貴様たちから奴の亡骸をS.H.Aの
この音源を聞いた時、怒りは消え失せ、恐怖に打ち拉がれた。
「悲劇、いや、醜い喜劇はこれからだぜ、
「ああ、あああ!」
[マジで!? マジで!? 人殺しなのかよ!? 失望まっしぐらだ!]
[ありえないし。
[放火魔を
[放火魔アンチヒーローを裁くスレはここに集えし。]
「あああ、ああああ、あああああ…! ハッ、ハハハッ、ハハハハッ、ハハハハハハハッ!」
次々と誹謗中傷の嵐を見た中勝は完全に病んでしまい、笑い狂うが、それは一瞬で歪んだ口元を歯軋らせ、眉間の皺で顔を凶悪に歪ませ、怒り狂った。
シュンは中勝にチャットを見せた瞬間に、彼にとっての喜劇、そして、中勝にとっての地獄が始まった。
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