第3話 疑問
「あれ...私って、なんでここにいるんだっけ?」
いや人に聞くなよとは思ったが、軽めのボケなんだろうか。
「えーっと、言い出しずらかったら全然言わなくていいんだけども...」
「全然そんなんじゃないの、なんか記憶が部分的っていうか...思い出しずらいの、、」
おっと...思っていたよりも深刻な話しそうだ。
「記憶喪失的な感じ?」
「多分...名前とかの簡単なことは覚えてるんだけどね、あと小さかった頃の記憶も」
彼女は意外と冷静な表情でそう言った。
「ここ最近の記憶がないってこと?」
「そんな感じがする、でも、なんとなく薄らだけど、ここまで飛んできた気がするの」
飛んできたって...ファンタジーじゃあるまいし、とは思ったものの、彼女が嘘をついているような顔にも見えなかった。
「ならさ、探してみる?」
「何を?」
「記憶だよ、案外このあたりを歩いてたら思い出すかもよ」
何故こんなことを言ったのか、自分でもよく分からない。
だけどなんとなく、日常が非日常に変わる、そんな気がしたのだ。
決して、目の前の彼女が可愛いから手伝ってあげようとか、そういうやましい理由ではない...うん、、
「いいね、それ気に入った!そうと決まればいざ出発!!」
「いやまだ定食食ってないから」
「ラジャ!!」
急いで食べ終わり、お婆さんに代金を払い、その場をあとにした。
そんなこんなで1話の冒頭に戻る。
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