道なき道を
行け、行け。腹這いになった胸が燃えるように熱い。腹から衝撃が突き上げてくる。私は歯を食いしばり、打ち付ける風を浴びて涙をボロボロ溢しながら、けれどもずっと前を見ていた。
盗んだ馬はひたすらに走る。嘶くことさえせず、ただ真っ直ぐに走るだけの命となって大地を駆ける。お前も外に出たかったのか。お前もこれを望んでいたのか。細い両手足で必死にしがみ付くことしか出来ない私は、口に出してそう問うことも出来ない。
ああ、夜明けだ。夜明けの光が横薙ぎに山裾から溢れて、怒濤のような黄金色が私達の道を照らす。道なき道を、一寸先の未来すら見えない私達の道を、彼方まで続く一筋の線のように。
終【お題:道/路(2021/4/03)】
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