プラトニック

戎本ミホ

プラトニック

きみは驚くほど透明でほんの僅かな傷でも


割れてしまうほど脆くて


そのことを唯一知っているぼくは


きみを抱きしめることができない


大丈夫、というきみの笑顔は


ぼくには痛すぎるよ


大丈夫だったことなんて


きっと一瞬もなかったきみが


もしもぼくではない他のだれかに


抱かれて砕けてしまったら


もうこの愛を紡げなくなるんだ


世界のすべてがきみのように


優しさに包まれていたならば


ぼくがきみと出逢う理由はなかった


きみの美しさも儚さも


ほんとうのことはすべてただ


ぼくだけが知っていればそれでいい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

プラトニック 戎本ミホ @34_ebi117

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ