トク、トク、トク………

「いやーぁ、この音!………ひっく!最っ高だねぇーー!…………んぐ、んぐ、んぐ……っはぁー、うんめぇなぁ、生き返るわぁ………

 おぉーい!いつものぉ、もぉう一杯くれぇやー!………ひっく!」

「すみません、お客さん」

「あぁ?べらんめーぇ!おー、どーしたんでぁ?………っく」

「飲み過ぎですよ」

「あー?」

「飲み過ぎ、ですよ」

「あー?飲みすぎぃーだってかーぁ?……んぐっ、………はぁ、あんらってぇ?」

「もう徳利20本も飲んでおりますよ」

「あーーん?………うぃっく、んーーーー?」

「過度の飲み過ぎは身体に障りますから、どうかその辺で」

「あー?ばーっきゃろーー、っぷ、あー、うっ………っく、ばっちゃろぉーー、あー………」

「大丈夫ですか?」

「あーー、らいじょ、っんん、大丈夫に決まっ、決まってんらぉー!ういっく!あーー………」

「完全に酔われているようですね」

「おらぁ酔ってるってかぁー?あーーー?」

「酔われているように見えますよ」

「はーっは、居酒屋にぃいるんならぁ、楽しくぅ飲んで、ちゃぁんとお、酔わねぇとーなーー、そーだらぁー?んぁーー」

「そうですね。さて、そろそろいい時間になりますので、今日はこの辺で」

「あーー?ういっく、あんらってー?」

「そろそろいい時間になりますので、今日はこの辺で」

「あんらよーー、ひっく。これでーー、うっく、あー、終わりぃってかぁー?終わりぃなんかぁーー?」

「申し訳ありませんが」

「べらんめぇー、ばっきゃ………うっぷ」

「大丈夫ですか?」

「あーー、くぁーー、おぁー………あー、しゃーねーーなーー、おかんじょーー!!」

「こちらになります」

「あーー……んぁーー、おかんろーー!あーっはははは」

「今日も楽しんでいただけたようで」

「あーー、あーー、酔っら、酔った、あー、財布ぅ、財布はぁ?さいひゅは、ろこらぁなー?あーー?」

「どうされましたか?」

「あー、んぁー、みっかんねぇーぞぉ、わーすれちまったぁかぁーなぁーー?」

「……仕方ないですね。いつも来ていただいてますので、今日の分はツケにいたしましょう。お支払はまた次回ご来店の時に」

「あー!ツケ!そーらな!ツケといてくれぇ!ツケら、ツケ!すまぁねぇなぁ、ありがとよぉ、ふへへへへへ」

「お帰りは大丈夫でしょうか?」

「っく、ばっくぁろーー、こんくらいならぁなぁー、でーんでん!問題ねぇーんだら………っととと」

「大丈夫ですか?」

「んなろー、あーー、地面が揺ぅれ揺れしぃてやがぁる、あー、だいろーぶら!おれぁらいろーぶらからな!………うぃっく」

「はい。それでは、お気をつけて」

「あーー、まら来るはらなぁー、ひっく、じゃあーーなぁーー………うぃっく」

「いつもありがとうございます。またのご来店をお待ちしております」




「………店員さん、店員さん(小声で)」

「どういたしましたか?」

「本当に大丈夫なんですか、あの人。すごい酔っ払ってたし、ちゃんと家まで帰れるのかな………

 今からでもタクシーかなんか呼んであげた方がいいんじゃ………」

「ああ、ご心配いただきありがとうございます。でも大丈夫ですよ。

 あの方、居酒屋の雰囲気が大好きで毎日のように来られるのですが、去年から肝臓を壊されてましてね。

 最初にノンアルコールビールを一杯、つまみを一皿頼まれた後は、いつも徳利に入れた白湯しか飲まれませんから」

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