アヨータヤーのイープン

シャム(アヨータヤー朝)の首都、アヨータヤー


仏教が大切にされているようで仏教寺院がそこかしこにある

南国の暑さは堪えるが、色鮮やかな色彩の都だ


そして、驚くべきことにこの街にはヒノモトの人間が結構な数いる


…しかし、我々を見て一部の人間は逃げ出した

そう、約一名の顔を見た途端にね


どうやらノブナガ様に滅ぼされた勢力の残党の一部がはるばるこの国まで亡命してきていたようで、ノブナガ様の顔を見た途端

「魔王だ、魔王がこの国までやってきた…もうおしまいだ…」などと恐怖のあまり錯乱しながら逃げ出していた


そしてそんな中、

「ノブナガ様ー!まさかご存命だったとは!」と手を合わせる者までいた

…どうやら四国遠征軍の下級武士の中には、堺の混乱の中ヒデヨシ軍に合流もできずに止むにやまれずポルトガル船に水夫として乗せてもらいアヨータヤーまでやってきた者達もいたようだ

そして、この街に流れ着いたヒノモトの者達は戦慣れしているため傭兵のような仕事についている者が多いようだが、その中にはなんと、我々の見知った顔まで…

「タケ!タケではないか!なぜそなたがここに!」

「と、殿ぉぉぉぉぉ まさかかような異国の地にて殿にまたお目にかかれるとは思ってもおりませなんだ この不肖ハセガワ、生き恥を晒していてよかった」と泣き出しているこの方は、タケ ハセガワ殿といってノブナガ様の側近中の側近

本能寺の変の折にはノブナガ様の指名で堺見物をするイエヤス様の案内役をしており、その最中イエヤス様を堺から逃したはいいものの自身は逃げる機を逸し堺のセミナリヨに匿ってもらうもミツヒデ軍に堺が接収され、宣教師と共にポルトガル船で南へ南へ流れアヨータヤーに辿り着いたそうな

我々とマカオで遭遇していてもおかしくなかったのだが、たまたま我々がルイコスタ商会の交易で泉州まで船に乗っていた間にマカオに入れ違いでハセガワ殿は到着され、さらに南へ向かわれていたらしい


そんなこんやで彼らに歓迎され!?我々は無事アヨータヤーに入港した


樹の陰にいる謎の男「…ほう、ファランやポルトケーの傭兵団かと思えば、イープンか ノブナガといえばイープンのサムライの王にそのような名前の者がいたと聞くが、、、たしか先程死んだという話だが?はて?」

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