第一章 流れ着いた先

私はワン

マカオのポルトガル商人の通訳として働いている

夏のある日、海岸に船が漂着したと聞いてやってきた


この船の形はジパングのものか?

よくこんな小さな船でマカオまで辿り着けたものだ


中にいるのは…黒人の男が1人と、あとはサムライらしき刀を持った男が2人、若い方は鉄砲も持っているな

あとは召使いと思われる者が数人か

とりあえず、倭寇ではなさそうだな

…あ、若者が起きた


…気づいたら、目の前に見知らぬ光景が広がり1人の男がわしの顔を覗き込んでいた


「気がついたか?お前はジパングのサムライか?」


…あぁ、わしはヒデカズ タキガワと申す…お主は?ヒノモトの言葉が喋れるようだがここはどこだ?


「あぁ、通訳だからな 私はワン ここ、マカオのポルトガル商人に通訳として雇われている」


…明の人間か?マカオとはどこだ?


「大明帝国の南の果てだよ ジパングからこんな小さな船でよくここまで辿り着けたものだ」


ここで周りを見渡すと、ノブナガ様やヤスケ、草の者達が倒れている


ノブナガ様!


本来は許されまいが、揺り起こすと目を覚まされた


「…おぉ、ヒデカズであるか、無事であったか

…して、ここはどこだ?」


マカオと申す大明帝国の南の果てのようにございます これなるワン殿が助けてくれ申した


「で、あるか ワン殿 かたじけない わしはノブナガと申すが、故あって船で向かっておったところ、野分に巻き込まれ彷徨っておったようじゃな

これなるは家臣のヒデカズとヤスケらじゃ」


…ノブナガといえばジパングのサムライの王にそのような名の者がいると聞いたことがありますが…まさかね

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