ペンタクロス-宴-
ぴたや
第1話 なかなかうまくいかない
私はアビ。5王国ペンタクロスの南西部に位置するククリカで活動中の女冒険者。
所属するパーティーが遠征からもどって清算もおわって宿でゆっくり休もうかと思っていたらリーダーに話しかけられた。
「あー、みんなに話があるから今日はそろって食事をとろう」
遠征中はいつも一緒に食べるけど遠征後にそろって食べるなんてめずらしい。
「ちょうどいい、わしも話がある」
古参の魔法使いのおばばまで改まってなんか嫌な予感がする。
食事も終わってリーダーが改まって話だした。
「みんな今回も無事大きなけがもなく戻れてよかった。俺は今回の遠征を最後にメリッサと結婚して商売を始めることにする!」
「ほぉ!所帯をもつタイプとはおもわなんだ!」
おばばが即座に答える。完全に同意だ。
「え、急すぎる・・・でもおめでと祝福するよ。でももっと早くいってよ!!!」
なんとなく同じパーティーメンバーのメリッサといい仲なのだろうとは感じていたがまさか所帯をもつタイプとは私もおもっていなかった。
「ええ、私もびっくりしたけどリーダーとだったらいいかなって。ククリカでお店を持つには予算的に厳しいから私の故郷で便利屋を始めるつもりよ」
「前回の冒険で大けがしたときに将来のこと考えたらなんかいろいろとな。メリッサから故郷の島国の話きいてたらうらやましくなったんだ。そんなメリッサの育ったところでのんびり所帯を持ちたくなったんだ」
メリッサとリーダーが見つめ合って二人の世界にはいってる。
「おばばも話があるっていってたけどどうしたんだ?」
お花畑な二人はほっておいておばばに話を向ける。
「実はな。わしも長期で遠征に行くのがちょっとつらくなってきたからそろそろ引退の話をしておこうと思ったんじゃ。リーダーとメリッサが抜ける中タイミング的にあれだが・・・実はさっき宿に手紙が届いていてな。ひ孫が生まれるって連絡があってな一緒に暮らそうって言われちゃったからもうこれすぐ孫娘のとこいくしかないっちゃろ?」
おばばにしては珍しく声が弾んでいる。これは引き止められないな。
「おー!オババがヒヒババになるのか!そりゃめでたいな!」
リーダーがお花畑からもどってきた。
「めでたい事続きだな。さすがに私とジャンだけでは冒険続けられないから新メンバー探すしかないかぁ。」
ジャンが言い出しにくそうな顔をしながら話し出す
「すまんなアビ。俺もここまで一気にメンバーが抜けるなら脱退するわ。居心地はよかったけどよ。アビと俺じゃパーティ運営なんてできないだろ。」
間違いない。
「確かにギャンブル好きなあんたたちがパーティー運営するのは不安だわね」
しっかり者のメリッサがいう。
「はぁ~!それじゃあ解散か~!しょうがないね!たしかにジャンと私じゃダメだわ。明日からソロか~!!!」
「ま!お互いソロで気楽にいこうや!」
ジャンとこぶしをぶつけ合いお互いの健闘を祈る。
「急で申し訳なかったがそういうことで解散お別れ会になっちまうが今日は俺のおごりだ!」
リーダーが追加オーダーを店のおやじに頼みながらいう。
「それぞれの未来に!かんぱい!」
明日からの不安はとりあえず考えないことにしてうまい飯と酒を飲んで居心地のよかったパーティーメンバーとの最後の晩餐をたらふく食べる。おごりだしな。
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