第13話 亡命

 早速私は馬に乗せられ、ご主人さまと二人乗りで、馬で国境の方に向かっていく。

私の体が落下しないように、ご主人様に鎖で括り付けられて。

 正直、拘束しなくてもいいでしょと思うが、ご主人様曰く、本当の危機に陥らないと拘束は外させてもらえないみたいだ。

 ああ、本当に嫌になる。


 そのまま馬に運ばれていくが、正直本当に体勢がきつい。

 揺れるし、馬にまたがることもできないし、常に外に引っ張られる感じで本当に気持ち悪い。ご主人様とつながっている鎖が外れるとすぐに落ちてしまう恐怖、さらにもちろんのこと手足が動かせないのk持ち悪い。


 ご主人様は本当どうやってこの状況で馬を走らせてるのだろう。謎ばっかりだ。


 そんなことを考えていると、目の前に敵がやってきた。関所付近に潜んでいた敵が向かってきたのだろう。

 数は一〇〇もいないようだけど、こっちは一〇もいない。


 しかもご主人様は私を抱えながらの戦闘になる。


「うおおお、アルセイドを殺せえええ」


 そう言って向かってくる大量の敵勢たち。だが、そいつらをご主人さまは剣の一振りで切り刻んだ。

 やはりこの人強い。


 むかつくけど、この人がいれば負けることはないだろう。


「うおおお、しねえ」


 その声に後ろを振り返る。すると、そこには弓を構えた男が弓を発車しようとするところだった。


「まずい」


 向こうにいたメイリスが声を出す。だが、間に合うわけもなく、私の方が射抜かれた。


「っいた」


 肩から血がだらだらと出る。ご主人様はそれを聞いて、「っくそ」と言って後ろにいた敵を切り裂く。


 傷口を手で押さえたいのに、手が拘束されていて、動かせない。


「ああ、何なの!? この手枷、邪魔!」


 そう叫ぶも、その声はむなしくとどろくだけだ。


 そして、私の傷を気にかけることもなく、戦闘は続いていく。

 あくまでもご主人様は苦痛そうな顔をしているがそれだけだ。

 結果論かもしれないけど、手枷とかさえなかったら、避けられたかもしれないのに。


 そして、ようやく国境を突破した。

 とはいえ全然安全ではない。

 この国とあの国とでは同盟なんて結んではいない。

 だが、それで安全になるとは限らない。もし捕まれば、金などで私たちを売る可能性も十分にあるのだ。


「あの」

「なんだ? ニナ」

「拘束されてたら目立つし、さすがに拘束を外してもらえない?」


 感情論とかではなく、シンプルに拘束されてる娘を連れてたら、あ! アルセイドだってなってしまう可能性が高い。そんなのは嫌だ。

 そもそも引き渡す前に、私なんてご主人様が敗北して捕まった場合、辱めを受ける可能性もある。それだけは絶対に嫌だ。


「それはだめだ」


 あー、やっぱりこの人は。

 なんで、そんなリスクを負ってまで、私を拘束状態にさせておきたいんだろ。




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