第3話 『春華さんと放課後アイス』
僕の『おまじない』で上機嫌になった春華さんは、真後ろにいてもわかるほどルンルンだった。
僕の背中につんつんちょっかいをかけてきたり、髪を触ってきたりする楓華さんのかわいいいたずらに耐えながら全校集会は進んだ。
正直僕としては精神力の鍛錬をしているようだったが、あまり苦じゃないと思える辺り僕も放課後が楽しみなのかもしれない。
全校集会があと10分の時に耳元で『もうすぐやね』と囁かれたときは背筋に電流が走り危うく声をだすところだったが、それもまた愛嬌だろう。
そして放課後
「・・・全校集会中はえらく上機嫌でしたね?」
「うん!!だって『おまじない』が効いてるもん!」
「まだ効いてるんですか?」
「え、うん。どげんしたと??」
こくりと頷いてこてんと首をかしげる春華さん。しかも今回はおまけで博多弁付き。かわいすぎだろふざけんなありがとうございます(?)
「そうですか・・・成長しましたねぇ。ならお疲れ様のおまじないはもういりませんね」
「!!!???」
そういうと、ガビーン・・・とショックを受ける春華さん。
いちいち表情がかわいい。あと隠す気がなさそうなのがすごく嬉しい。
「・・・る」
「はい?」
「いる!!もっかいして!!」
「ええ?でもさっきいらないって」
「もっかい!!するの!!」
だだこね春華さんもかわいい。
これ以上は拗ねてしまうのでおとなしく楓華さんの指示に従うことにする。
ぽん
なでなで・・・なでなで・・・
「んっ、んみゅ~~~~~~~・・・」
頭を撫でられご満悦そうな春華さん。とってもかわいい。
春華さんは小5くらいから頭を撫でられたがることが増えた。
まあ僕としても春華さんのさらっさらの髪をなでるのはすごく気持ちいいし、春華さんに認められてる気がしてすごく嬉しい。
ただ増え方がいきなりだったから、気にならないかと言われれば嘘になる。
「春華さん猫みたいですね。」
「んえ?猫?私が?」
かわいさとか性格とかとか特に。
「はい。甘え方とか特に。」
「そうかなぁ・・・あんまり言われないけどなぁ」
「本当に?詩織さんにも?」
「う~ん・・・あ、一回言われたことある!」
「やっぱり。やはり春華さんは猫なんですよ。」
「むう、そうなのかなぁ~」
そのまま3分くらいナデナデし続けて。
「ご満足いただけましたか?」
「大変満足です!」
春華さんは気分ルンルンお肌つやつやになっていた。
その代わり僕は若干手がつかれてる。
だるい感じがあるが、春華さんが満足してくれたのならこれくらい安い。
「さぁ~コンビニに行こ~う!!」
「えっと・・・スーパーにしません?そっちの方が安いんですけど・・・」
「ん?あ、そうなの?んじゃあスーパーに行こう!」
そのまま近くのスーパーに寄り、パピコンのカフェオレ味を買った。
ごめんなさい。あんまりお金に余裕があるわけじゃないんです。
「このままスーパーの外で食べません?ごみも捨てられますし。」
「うん!そうしよっか!」
邪魔にならないところを見つけ、そこでいただくことにした。
「せ~の、はんぶんこ!」
パキッと良い音を立ててパピコンが二つに分かれる。
「はいどーぞ!」
「はい、どうも。」
綺麗にできた、と輝く笑顔の春華さんから半分もらう。
「ってごめん颯翔くんが買ったんだった!偉そうにあげちゃった!」
「いいですよ。気になりませんし。」
二人でしばしアイスもぐもぐタイム。
・・・モグモグ?なんか擬音が違う気も・・・まあいいか。
「う~ん!やっぱり美味しい!!」
「お嬢様のお口にも合うほどおいしいんですね。」
「私そんなお嬢様じゃないよ?ちょくちょくパーティーに出てるくらいだけだし、まあ資産も平均より上かもしれないけど・・・」
お金を資産とか言う時点でもう庶民じゃないのよ。
おしゃべりしながら食べていたせいか、二人ともあっという間に食べ終わってしまった。
「ゴミ、一緒に捨ててきますね」
「あ、ありがとう!ごめんね!」
「全然構いませんよ・・・あ、そうだ。僕ついでにお手洗いに行って来るんですけど春華さんはどうします?」
「ん~じゃあ私も行こうかな!出たとこで待ち合わせね!」
「わかりました」
待つこと数分。春華さんが出てきた。
「ごめ~ん!お待たせ~!」
「いえいえ、全然待ってませんよ」
小走りでかけ寄ってくる春華さんに内心ドキドキしつつ、顔に出さないように何とかこらえる。やはり素材がいいと何をしてもかわいく見えるなぁ。
僕らはゆっくり帰路につく。
「全校集会中にちょっかいかけてくるのやめてくれません?」
「エヘヘ、ごめんなさい。ちょっとテンションが上がっちゃって。」
「まだ背中つつくのはいいですよ。最後の耳元で囁くのはちょっと反則じゃありません!?勘違いしますよあれは!」
「え、えぇ?そ、そっか・・・流石に私もあれはやりすぎたと思ってます。
もうしません。えへへ」
なんで若干嬉しそうなんだこの人は。
「・・・そうだ。颯翔君!」
「うわぁ、どうしました?」
「今日の午後からって何か予定ある?」
スマホのスケジュールアプリで確認する。今日の午後は・・・ない。
あったとしても突発的な買い物くらいだろう。
「・・・予定あった?」
「いや、ありませんね。・・・お出かけでもします?」
「いいの!?」
「いいですよ。どうせ家にいても暇するだけですし。」
春華さんとの
「そうだ!すぐお出かけするんだし、私の家でお昼食べる?」
「いいですね・・・あ、でも服どうしましょう。」
「制服一択!!」
「あ、そうなんですね。えと、じゃあ、お言葉に甘えて。」
今冷蔵庫に夕飯用の食材以外あんまりないはずなので、実をいうと非常に助かった。
「じゃあお迎え呼ぶね!10分くらいで来ると思う!」
「えっあっはい。」
やっぱお嬢様だろこの人。
――――――――――――――――――――――――――――――――
えへへ、えへへへへへへへへへへ・・・
おまじないバフをもらった私は無敵なのです!
そのせいで前に座ってる颯翔君にいたずらをしてしまった。
反応しないのをいいことに調子乗っちゃって、耳元で『もうすぐやね』と囁いてしまって自分のしたことに気づいて真っ赤になったのは秘密。
「・・・全校集会中はえらく上機嫌でしたね?」
「うん!!だって『おまじない』が効いてるもん!」
「まだ効いてるんですか?」
「え、うん。どげんしたと??」
颯翔君の『おまじない』は1日効くからね!
でもなんでそんなこと聞くんだろ?なんかあったっけ?
「そうですか・・・成長しましたねぇ。ならお疲れ様のおまじないはもういりませんね」
「!!!???」
ええええええ!!!???そんなご褒美あるなんて聞いてないよ!!
あ・・・!思い出した!!そういえば終わってからもしてくれてた!!
ううううううううううう・・・絶対、絶対いる!
「・・・る」
「はい?」
「いる!!もっかいして!!」
「ええ?でもさっきいらないって」
「もっかい!!するの!!」
おまじないちょうだい!!また機嫌悪くなっちゃうよ!!
ぽん
あ・・・
なでなで・・・なでなで・・・
えへへ、きもちいいいいい・・・
「んっ、んみゅ~~~~~~~・・・」
あ~~、ヤバイ。気が抜け過ぎて変な声出ちゃう~~~。
でもまあいっか・・・気持ちいいし・・・
「春華さん猫みたいですね。」
「んえ?猫?私が?」
私、颯翔君の前だと犬の方が近い気がするんだけど・・・?
ツンデレしたことあったっけ?
「はい。甘え方とか特に。」
「そうかなぁ・・・あんまり言われないけどなぁ」
「本当に?詩織さんにも?」
詩織には・・・あ!そういえばあった!!
「う~ん・・・あ、一回言われたことある!」
「やっぱり。やはり春華さんは猫なんですよ。」
「むう、そうなのかなぁ~」
あんまり自覚ないんだけどなぁ~~~
そのまま3分くらいナデナデされ続けて。
「ご満足いただけましたか?」
「大変満足です!」
やや疲れたように笑う颯翔君を見てちょっと罪悪感はあるけど、もとはといえば颯翔君が唆したことだしこれくらい覚悟してもらわないと!
「さぁ~コンビニに行こ~う!!」
確かこっちにあったはず!
「えっと・・・スーパーにしません?そっちの方が安いんですけど・・・」
あ、そうなんだ?・・・ってそっか。コンビニの方がちょっと高いって前に颯翔君言ってた気がする。
「ん?あ、そうなの?んじゃあスーパーに行こう!」
そういえば颯翔君いま節約してるとか言ってたなぁ。
言ってもらえればいくらでもあげるんだけど・・・
「このままスーパーの外で食べません?ごみも捨てられますし。」
「うん!そうしよっか!」
よ~し、今日の運試し!
「せ~の、はんぶんこ!」
パキッ
いい音なった!今日はいい日!
「はいどーぞ!」
「はい、どうも。」
・・・あれ?そういえばこのアイスって・・・
「ってごめん颯翔くんが買ったんだった!偉そうにあげちゃった!」
「いいですよ。気になりませんし。」
神。好き。
「う~ん!やっぱり美味しい!!」
「お嬢様のお口にも合うほどおいしいんですね。」
お嬢様?私が?いやいや、そんなことないよ~。
だって本物のお嬢様って詩織みたいな人のこと言うんだよ?
私なんて全然だよ?
「私そんなお嬢様じゃないよ?ちょくちょくパーティーに出てるくらいだけだし、まあ資産も半分より上かもしれないけど・・・」
それでも全然及ばないし。
「ゴミ、一緒に捨ててきますね」
「あ、ありがとう!ごめんね!」
「全然構いませんよ・・・あ、そうだ。僕ついでにお手洗いに行って来るんですけど春華さんはどうします?」
「ん~じゃあ私も行こうかな!出たとこで待ち合わせね!」
気遣い颯翔君好き。
「わかりました」
私が出ると颯翔くんが非常に様になる格好で待っていた。
やっぱりカッコいい・・・
むむ、あそこの女性。もしや颯翔君を狙っているな!?あげないよ!
「ごめ~ん!お待たせ~!」
「いえいえ、全然待ってませんよ」
5分以上たってるのに・・・やっぱりすきだなぁ。
私たちはスーパーを出てゆっくり帰ることにした。
「全校集会中にちょっかいかけてくるのやめてくれません?」
「エヘヘ、ごめんなさい。ちょっとテンションが上がっちゃって。」
「まだ背中つつくのはいいですよ。最後の耳元で囁くのはちょっと反則じゃありません!?勘違いしますよあれは!」
勘違い・・・それって好きだと思われるかもしれないってことだよね?
それなら、勘違いされたいなぁ・・・なんて。
「え、えぇ?そ、そっか・・・流石に私もあれはやりすぎたと思ってます。
もうしません。えへへ」
嬉しくなって笑ってしまった。
・・・そういえば私午後から予定ないし、もしかしたら颯翔君とお出かけ出来たり?い、いやでも、颯翔君予定あるかもだし・・・
いや、思い切って聞いてみよう!!
「・・・そうだ。颯翔君!」
「うわぁ、どうしました?」
「今日の午後からって何か予定ある?」
颯翔君がスマホを見て確認している。
ドキドキ・・・
「・・・予定あった?」
「いや、ありませんね。・・・お出かけでもします?」
「いいの!?」
そっちから聞いてくれるとかやっぱり神。
好き。
「いいですよ。どうせ家にいても暇するだけですし。」
えへへ・・おっでかっけおっでかっけ。
・・・そうだ!!
「そうだ!すぐお出かけするんだし、私の家でお昼食べる?」
「いいですね・・・あ、でも服はどうします?」
そんなの制服デートしかないでしょ!!
「制服一択!!」
「あ、そうなんですね。えと、じゃあ、お言葉に甘えて。」
よ~しじゃあさっそくお迎えを頼もう!
「じゃあお迎え呼ぶね!10分くらいで来ると思う!」
「えっあっはい。」
楽しみだなぁ・・・颯翔君とデート。
後ろの席の春華さんがいろいろな意味でかわいすぎる 猫の灯籠 @NekonoRantan
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