ネリネ村2

 「アイリス様...やはり噂は本当だったのか。」


 「ええ。この私が散々私の力を勝手に利用されて国を発展させた挙句、つまらん女だという理由で婚約を破棄し絶縁された女です。」


 「おぉ...」


 あ、今この人絶対(めっちゃ言うな、どんだけ恨んでんだ)って思ったな。


 「アイリス様は伝説を知っているかのぉ?まあ、伝説というほど昔の話ではないが。」


 「私が女神の子という話ですよね。」


 「それはそうなんじゃがな。あまり伝わっていない点があるんじゃ。」


 「えっ?ではなぜあなたは知っているのですか?」


 「ああ、わしは女神の友人じゃったからのぉ。それはもうペラペラと話してくれたもんよ。」


 いや絶対ダメなやつじゃない。


 「アイリス、前世の記憶はないかの?」


 「前世ってなんですか?」


 「アイリスに生まれる前の、お前じゃよ。一度お前は死んで、生まれ変わってアイリスになったんじゃ。」


 「ない、です。思い出せません。」


 「女神が言うにはな、アイリスとなって生まれるのは誰でもいいわけではなく、女神自身がお前を選んでアイリスにしたんじゃ。『人間の中で、私が1番愛している子を選んだの♡』と言っておったわい。」


 「あ、そうですか。でも私、そんな記憶ありませんよ。」


 「王宮に閉じ込められていたのだろう?それが原因なんじゃったら、ここは一応王国の中だが王都からかなり離れているからここでなら思い出せるかもしれないぞ。なんなら1ヶ月ここで過ごしても良いが。」


 「いいのですか!?ありがとうございます!お言葉に甘えさせてもらいます。」


 こうして私の新しい生活はスタートしたのだった。

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