雨の御霊 弐

雨月 史

KAC2024+

その日私と柚彦は何かに導かれる様に滲鴨神社へと向かった。


滲鴨神社へは京都の市営地下鉄で行く事にした。今出川駅で降りてそこから少し歩く事になるが、せっかく雨?(雨なのか?)もあがり晴れ間も見えているので鴨川沿いを歩く事にした。


「しかし美晴みはるなんで急にこのお守りの事を思い出したんだ?」


「あーそれは……。」


私は先程まで見ていた不思議な夢?の話を事細かく柚彦にした。


「なるほど……。最近さ……美晴って訳のわからん夢みるよな。しかもそのわけのわからない夢?ってのがなんだか俺には行く末を暗示している様な……なんていうんだっけそういうの?」


「んー……予知夢?みたいな?」


「おーそれそれ!!」


「私が話した夢で暗示?ってそんな事あった?」


地下鉄に揺られながら彼は急に真剣な眼差しで私を見つめた。


「『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』っていう君の見た夢の話覚えてる?」


私は思わず苦笑した。


「やめてよあれこそ本当に訳のわからない夢だったんやから、柚以外あんな話恥ずかしくてでけへんわ。」


「いやそれが俺、後でびっくりした事があってな、あの日二人で梅田に行ったやんか。」


「うん。梅田のスカイビルね。楽しかったけど、あの時人多かったわ。私人混み苦手やから。」


「そうそれよ。あの時なんでスカイビルに人が多かったが覚えてる?」


「何でってたしか……オリックスのパリーグの優勝セール?かなんかで人がごった返していて、なんだか殺気だってたおばちゃん達

が、我先にと言わんばかりに店へなだれ込んで……。」


「オリックスってさ……。」


「なに?」


「オリックスバッファローズって名前だったやんな?」


私は柚彦が何が言いたいかわからなかった。

すると彼は薄ら笑いを浮かべてこう言った。


「全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ……。」


地下鉄内に京都の雅な音楽が流れる。

「次は北大路、北大路。」


二人で顔を見合わせる。


「乗り過ごしたやんか!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨の御霊 弐 雨月 史 @9490002

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ