第31話 メサイヤに潜入する元英雄
ホムラが壁を通り抜ける魔法が使えるということで、多くの人が帰宅する時間帯のあと──夜10時ごろを狙って中に入る。
「働く場所と家を一緒にするとはヤマザキとやらは相当の傑物らしいな」
「こっちとしては所在地がわかりやすくていいが、確かに起きてから寝るまで仕事から解放されないと思うとゾッするな。経営なんてタダでさえ激務だし」
抜けた先に誰もいないことを確認すると、近くにあるエレベーターがこちらに降りてくるのがわかった。
「透明化をかけてくれるか?」
「わかった」
エレベーターが降り切る前に透明化して待っているとエレベーターの扉が開いた。
「はい、バイバイ」
軽薄な声が聞こえるかと思うと鎌鼬がエレベーターの内部から発せさられ、こちらに殺到し始めた。
魔術特化で防御力が乏しいだろうホムラを庇うために咄嗟に盾になると、エレベーターが燃えがった。
「助かった。レンが盾にならなければ相打ちになっていた」
「相打ちか。不意を取られたのによく反応できたな」
「人と魔人は違うからな。人と同じ感覚で考えてもらっても困る。私にすれば人間だっていうのに私よりも早く対応できるレンの方が凄まじいと思うが」
「俺は身体強化に一辺倒だからな。襲撃者があったことからもうバレてるし、隠れて行く必要もない。エレベーターを使って社長室まで行くか」
どうやって検知したのかはわからないが、社長にもバレてると見ていいだろう。
逃げに入ってるかもしれないが、英雄の次点で強いと言われている神童を3人抱えている企業のトップなので、振動によって安全が保証されていると思ってそのまま待機している可能性も十分ある。
エレベーターから降りてきた神童の一人──山崎翔を始末したことを察知する前に社長室に向かった方がいいだろう。
エレベーターは生きていたためそのまま煤だらけのエレベーターに乗ると、壁に図示してある社長室のある最上階に向かう。
順調に上り最上階に着き、扉が開くと大量の角が生えた人間──魔人と最後の神童である山崎瑛人が姿を現した。
「ここまできたことは褒めて──」
ちょうど目の前にいたので、瑛人の頭を拳で爆ぜさせると、ホムラガ炎で魔人を燃やし尽くした。
「姿が似ているだけの紛い物か。趣味が悪いな」
「似ているだけで魔人じゃないのかあれは?」
ホムラに尋ねると魔人もどきの燃え滓の奥から拍手の音が聞こえてきた。
見ると社長のデスクに座る軽薄そうな男──おそらく山崎とグチャグチャに魔物を入るつけたような人形の化け物の姿が見えた。
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