第15話 強者として認識される元英雄



「あれはマンティコアか」


 キメラたちが軒を連ねていたエリアを超えると、大きな蠍の尾を持った人面獅子と遭遇した。

 人面犬と同じようで少し間の抜けた感じに見えるが、キメラ以上の膂力と人間並みの頭脳を備えているためその実キメラよりも強いモンスターだ。


 ・なんかゆるキャラの失敗作みたいなの出てきて草

 ・これまだ登録されていないモンスターじゃね

 ・なつい、昔地元で暴れ回ってて結構やられたわ

 ・ワイの上司に顔面クリソツで草

 ・米田明日俺のデスクに来い

 ・秒で上司に特定されてて草

 ・憤怒のマンティコア先輩

 ・次回、米田死す


「一体だしな。ここは俺が行こう」


 マンティコアがこちらを警戒して正面を向いた瞬間を狙って顔に正拳突きを入れる。

 そのまま体を支えを失ったようにマンティコアは地面に伏す。

 一息で接近して拳を入れたので、おそらく何が起きたかも分からずに絶命しただろう。


 ・ワンパンで草

 ・英雄よりも英雄らしい配信でワロタ

 ・ここのダンジョンのモンスワンパンはヤバいだろ

 ・一瞬消えたぞ

 ・強すぎワロタ

 ・強い奴がいると聞いて見に来たらマジで草

 ・さすおに


 強いということに関しては認められてきているようだ。

 今ここでも英雄は自分だと主張しても受け入れられるとは思うが、保険として今の状況で行けるギリギリのところまで行ってからにしたい。

 流石に無理があるとは思うが、輝利哉の替え玉に凄腕の人間にやらせてこれの上をいかれる可能性は潰したいのだ。


「こんな場所でお目見えできるとはな」


「いきなり壁の向こうから声が」


「む。この声は同胞か」


 下層に向けて移動を開始しようと思うと、壁から声がした。

 ホムラが同胞と言っていることから、おそらく魔人だろう。


「お兄ちゃん、これはゲスト登場の演出か何かですか?」


「ホムラのコスプレ仲間が来たみたいだね。余興で少し組み手をするか」

 


ーーー


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