JDですが、モテたくて男装をしたら女子にばっかりモテる件
怪物mercury
1,結局は趣味の問題かもだけど
女子校というのは、ある側面において非常によくない文化だと思う。
もちろん、偏差値がそっちの方があがりがちとか、変な青春ごっこに振り回されずに部活や勉強に集中できるとか、メリットはいくらでもある。
でもさあ。
「私だって、恋愛したいんだよッ!!」
時は高校三年生冬。周りの者共が受験だなんだとひぃこら言ってる間、早々にそこそこの学校で推薦をもらった私は自室で頭を抱えていた。
親に言われるがままに入った中高一貫の女子校は、最初の二年ぐらいは居心地がよかった。
もともと小学生のころから男子は苦手だし、コイバナとかはもっと苦手だった。
それを避けることができるという意味で、女子校は最高の環境だと思っていたのに、まさかまさかの出来事に遭遇する。
そう。女子校あるある・クラスメイトが段々レズ化していく。
最初は、○○先輩がかっこいいだの、後輩の○○ちゃんはかわいいだの、そういったいわゆる「噂話」とかってレベルで済んでいた。
だが、だんだんと惚れた腫れたの話が出てきて、気が付いたら、全員ではないにしてもそこかしこでカップルが成立していた。
確かに恋愛は楽しそうだし幸せそうだし、ぶっちゃけ羨ましい。
相手が男子ならな!?
この際、学校の王子様なんて贅沢は言わない。
部活に青春ささげようと努力で一途な野球部男子でもいいし、図書館で偶然手が触れ合う文学男子でもいい。
私が女子校にいた六年間で出会った男子は全員教員。若干一名に至っては途中で逮捕。
ふざけるな。私の青春を返せ。
やりきれないイライラを解消するため、ベッドに身を投げ出し、イソスタのリール動画を見る。
時間を浪費するにはこれが一番だ。
……。
…………。
………………。
「あ。」
私は、あるものを見つけてしまった。
『モテるのはボーイッシュ女子。』
ファッション系の動画で偶然流れてきたのをみて、ピンときた。
「待てよ?ボーイッシュでモテるなら、男装ならもっとモテるんじゃね?」
こんなことを考えついてしまうなんて、私は天才かって。
思い立ったが吉日という言葉もある。
私はすぐにパソコンを開き、これまた暇つぶしでやっていたバイトでためた金を使って男ものの服をポチポチする。
さらに、男と言えば床屋だろ、ということで通いの美容室から浮気して床屋に行き、髪もショートカットに切り落とす。
ブリーチしたり染めたりは……いいや。チャラいキャラに見られたいわけじゃないし。
この間、四時間。
暇人の衝動というのは時として恐ろしいものだ。
立ち方、発声、言葉遣いなどの仕草も、いわゆる理想の男子を目指して訓練していく。
「さて……と。とりあえず。」
おい、今、胸をどうやって男子にするか考えたヤツ、正直に手を上げろ。いまなら撲殺で許してやる。
私のタブーに第四の壁なんて関係ないからな。
お望みとあらば今すぐにでもそちらに行ってグーだ。
……とまあ、熱くなったが、いい感じに男子っぽくなってきた。
これは入学式を楽しみにしてもらうしかないだろう。
ふっふっふっふっ……
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