第19話 春分の日

 春分の日と言うのはめでたい日らしい。昼と夜の長さが一緒になって、何故か知らないけれど祝日だ。


 だが私は仕事だ。


 朝の支度をした時から嫌な予感がして、ズボンをチョイスして、仕事に出る。


 思った通りの春の嵐だ。もっと髪もまとめて置けばよかった。風に少し入っている砂が私を涙目にしながら近くのバス停まで足を進める。なぜ私は仕事に向かっているのだろう。祝日なのに。悲しくなってくる。


 やるせなさに耐えてバスを待っていると、一輪だけ、桜が咲いていることに気づいた。


 風が吹いても花びらは5枚とも耐えていた。


 バスがやってきた。さて、今日もがんばりますか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る