第18話 迷子のインコさん。

インコが迷子になったようで、お尋ねのビラが貼ってあった。心が痛むがインコは厳しいだろうなと思ってしまう。


ところがそのビラはどんどん貼られる範囲を広くしてとうとう今、隣の県にまで貼っているのを見つけた。もう飼い主の執着を感じる。よほど大切にしていたのだろう。


「最近さ、肩がだるくって。」


「働きすぎか?運転代わるぞ。」


「悪いな。」


「元々交代の予定だったろ。いいよ。」


 友人が助手席に座った時、チラッとスマホが見えた。


「え、インコ?」


「そうなんだよ!最近うちに迷い込んでさ。こいつ可愛いの。」


これはどこからどう見ても。


「お前の目は節穴かー!インコは迷いません!」


ドライブ先は変わった。彼の肩も軽くなったそうだが、寂しそうであった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る