第16話 もう一つの顔

 最近、ちょっとおかしい。


 なんというか帰ってきた時の部屋の匂いが違う気がするのだ。私は芳香剤が苦手で、家に一切そういう類がない。だから、毎朝入れる珈琲の匂いがすることが多い。時々、匂いを強いご飯を作ると次の日も残っている時があるけれど。


 

 でも、特に部屋に変わった様子はないし、気のせいかと片付けている。それよりもちょっと始まりそうな恋の予感に私は少し浮かれている。


 隣に住んでいる、Yさんだ。会社に出る時間が同じで、最初は気まずかったが、Yさんは愛想がよく話し上手で、すぐに打ち解けた。


 そして外で偶然会うことも多いのだ。最近夢にも出てきて、とても気になっている。


 ある時、一人でウィンドウショッピングしていたら、たまたまYさんと出会った。よく会いますね、の流れから、一緒にお茶することになった。これは気合をいれようと、早々に席を立ち、化粧直しをしに行く。戻ると、Yさんが私のスマホを触っていた。


「あの、これ、会社からの連絡じゃないですか?」


 見てみると「総務」との表示。確かに会社からの連絡だった。


「何度もすみません、ちょっと出てきます。」


 そう言って席をもう一度離れる。私は会社からの連絡を取る。だけど、Yさんの勝手に表示を見る行動がやけに気になって、パスワードなどを調べてみる。


 faceIDにもう一人登録されている人がいた。



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ちなみにですが、フェイスIDは二つ登録ができ、登録が二つあると、faceIDの登録ができなくなっていて、削除しますか?という画面になります。

もしかすると、貴方のスマホも・・・?

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