ナルシストの国

以前、このシリーズで「素の人間と素の国家」というタイトルの文章を発表した。

パースペクティブの概念を使って人格障害とは何かを説明し、人格障害の国家が実在し、それは韓国と北朝鮮だと大雑把に分析した。

中国はどうかといえば、やはり人格障害である。バカのひとつおぼえみたいで申し訳ないが。

中国がどんな国であるかを一言でいえば、ナルシストの国である。「世界の中心は中国である」とする中華思想がナルシズムなのである。

まずナルシズムとは何かを説明しよう。ただし、この説明は実は岸田秀の理論の受け売りである。

すべての人間はナルシズムがMAXの状態で生まれてくる。厳密にいえば、母親の胎内にいる間がナルシズムMAXの状態であり、生まれた時はすでに少しナルシズムが削られている。

人間にとって、ナルシズムと幸福は意味が同じであり、母親の胎内から外へ出るという事自体が不幸なのである。

だから人間だけが泣きながら生まれてくる。

しかし、それは不幸の序章に過ぎない。その後人格形成という、不幸の連続が襲いかかって来る。

人間のナルシズムは不定形の岩のような物である。人格を形成するという事はその不定形をノミで削って意味のある形、例えば仏像の形にするようなものである。

ノミで削られるから痛い訳である。

ナルシズムと幸福は意味が同じだから、人格形成が終了した後の人間にとって、幸福とは削られたナルシズムを少しでも取り戻す事を意味する。

中国という人格にとって、中華思想の実現こそ幸福を意味するので、地球上の全ての国が中華思想を信じるまで中国は侵略行為やプロパガンダをやめないと思う。

だが我々が中華思想を信じるのは不可能である。

「中国こそ世界の中心だ」と誰かが言えば、「そのココロは?」と返せばいい。

相手は何も言えなくなるだろう。

つまり中華思想には根拠が無い。

あらゆる点で、天動説と全く同じなのである(実は天動説も人類のナルシズムなのである)。

しかし我々はもう地動説を理解してしまった。今さら天動説には戻れない。

だがそこを力技で戻そうとするのが中国の怖いところである。つまり、世界同時革命を起こして、中国がすべての国の宗主国になり、世界中の子供にプロパガンダ教育をすれば、次の世代にはすべての人間が中華思想だの儒教だの共産主義を信じるようになる。これが中国の最終目標だ。

「中国が世界の中心である」という思いがあまりにも強いと、「自己」を絶対化した事になる。その状態を人格障害と呼ぶ。

しかし、昔の中国はただのナルシストであった。人格障害になったのは文化大革命後、独裁者が人民に自分を崇拝するように強制し始めた事が原因である。

中国の独裁者は政治家である。政治に介入する。

だが、政治に失敗はつきものである。

失敗のせいで独裁者というパースペクティブの第二の消失点が相対化されると、それを信仰していた人民が「自己」(自分の主観)を相対化出来なくなり、人格障害になる。

一神教の社会では、基本的にこんな問題は起こらない。なぜならどんなカリスマも「世界の頂点」では無いからである。「世界の頂点」はあくまで「神」なのである。

だから国民が為政者を絶対化することはあり得ない。

ルーマニアの国民(一神教の信者)に出来たことが北朝鮮の人民(基本的に多神教の信者)に出来ないのはそれが原因である。

私は「すべての多神教は出来損ないの宗教である」と認識しているがその根拠のひとつがこれなのである。

そんな訳で、中国はナルシストの国で自己評価が高過ぎるからというのがこの国が人格障害になった理由のひとつであり、もう一つは多神教の民族は政治家を崇拝してはならないという事だ。

ところで、中国人は昔から根拠のない事だけを信仰してきた。中華思想、儒教、共産主義。そして根拠のある事は信じないのである。日本が福島原発の処理水を海洋投棄した時、中国は国を挙げて猛反対した。処理水は無害だといくら説明しても無駄だった。

科学的な考え方が出来ないのである。

だからこの国はいつまでたってもノーベル賞が取れないのではないだろうか。



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