出発


◆二日後

 

(イグナルト視点)


「シ、シエル離してくれるか?」

「・・・いや、」


2週間の休職を終え任務に向かう為に自室を出ようとした時・・・俺はシエルに足を掴まれてしまい、身動きが取れなくなってしまう。


はぁ、困ったな。


今回の任務はシエルを襲う依頼書を出した犯人の捜索が任務内容であった。マハイルさんとシエルを襲った3人の内、唯一生かした一人が2週間に渡る尋問により、ようやく口を割ったそうだ。


まぁ、尋問と言っても名前だけの物で内容は拷問と言う方が正しい。尋問を担当したのはセアラさんで友人のマハイルさんを殺された怒りもあり壮絶な尋問だったと聞いた。


その尋問の結果犯人は平和の国スカルダルの国境付近にある屋敷に住んでいる事が分かった。今回は俺とセアラさんの2人で任務に向かう事になった。


国境付近と言っても、

今、俺がいるミカエル本部も国境付近にあり、その反対方向に目的の場所がある為平和の国スカルダルを横断する事になる。


平和の国スカルダルは五大国の中でも一番面積が大きいため馬車で移動となっても五日はゆうにかかってしまう。


その為、任務期間は約14日程かかる計算になる、

二週間近く俺と離れ離れになる為、シエルは俺に抱き着き仕事に行くのを阻止しようとしていた。


何だこの子、可愛すぎるだろ!!


俺はニヤけそうな顔を必死に堪えシエルを抱き上げベットの上に座らせた。その前にシエルと視線を合わせるように俺は膝を着き目線を落としシエルの説得に入る。


「シエル、二週間なんてあっという間に過ぎるぞ?」

「・・・本当に?」

「本当、フェニや騎士団の人と遊んでいたらすぐに俺は帰って来るからな、だからいい子で留守番出来るかな?」

「・・・わかった。」

「シエルはいい子だな。」


お利口さんのシエルの頭を撫でてあげると『えへへ、』と笑いに柄喜んでいた。


俺はこの子のこの笑顔が大好きだ。

この笑顔を消し去ろうとした奴を俺は許せない。

その為今回は徹底的にさせてもら。

それは今回同伴する、セアラさんも一緒の思いだと思う。


「よし、話しも着いた事だし、イグ任務に向かうわよ。」

「あ、はい。」


部屋の外で俺を待っていた、セアラさんが声をかける


出発の時だ。

準備していた二週間程の旅の準備が入った荷物を持ち任務地に向かう・・・・その時、ベットの上に座っていたシエルが俺に飛びついて来た。


「・・・はやく、帰ってきてね。」

「あぁ。」


俺はシエルと約束をして部屋を後にした。


シエルと2週間も離れるのは正直、俺も辛かった。

が近いうちにシエルは他の誰かに預ける予定なので今のうちに互い別れる練習をする必要があった。


今回の任務は良い、機会だと思う。


そんな事を思いながら俺は馬車に乗り込んだ。





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