休憩
【イグナルと視点】
「無茶させちゃって、ごめんね、エポナ」
シエルに聞きたいことがあったので近くの川で馬を休ませる事にした。
馬はシエルがなだめてくれてる、シエルは俺とは違い動物と仲良くなるのが得意な子で仕事について来た時なんか、馬がシエルに懐いて離れてくれない事なんか良くある、それほど動物と仲良くなるのがうまい
現に今さっきまで機嫌が悪かった馬も鼻を鳴らしながら顔をシエルにこすって甘えてる。数分でここまで懐かせるのは普通に関心する。あとエポナはシエルが勝手に名付けた馬の名前だ。
「シエル、いつも言ってるが、ついて来たい時は言ってくれと頼んでるだろ、今日の仕事内容なら朝言ってくれたら普通に連れて行ってやるのに」
「、、、だって」
「だって?なんだ?」
「別に、、何もない、、」
シエルは顔を赤く染め、俺から目をそらしエポナの頭を撫で始めた。
シエルはなぜ何も言わないで黙ってついて来たのか、
前あった理由が忍び込んで驚かせたかったや仕事を見学をしたいなどの理由があったが今回は違う気がする
前にも何回かこんな事があった、ついて来たと思えば理由も教えてくれないでずっと俺の隣にいた、この問題を解決するには自分で正解を導くしかない。
まず状況から整理しよう、馬車に忍び込むのは何回かあるが理由を教えてくれないのはいつも決まって仕事で帰りが遅い日が続いた時に起こる、
しかも今日は少し早めの出発だったのにシエルが珍しく起きてきた。朝は得意じゃないのに無理して起きてた。仕事について行くのもあると思うがなにか引っかかる。さらには最近なぜか甘えて来る事が増えた気がする。自分から頭を撫でてほしいとか恥ずかしがってあまり言わない子なのに
これらの点から導きだされた答えは一つ
「もしかして、純粋に甘えたかっただけ?」
「んぐっ」
図星だったのか変な声がシエルの口からこぼれた、どうやら当たりのようだ
「べ、別に甘えたかったわけじゃないもん」
「ふ~ん」
(甘えたいなら素直に言えばいいのに)
【甘えたいなら甘えればいい】それは本心だったがシエルも年頃なのか昔より甘えてくる数が減ってると思う
俺の感情は心にしまい、無言で頭を撫でてあげる、
たぶん、これが今のこの子に対する最善の行動だと思う。
「なに?」
「別に、、いやだったか?」
「、、、、」
シエルは恥ずかしい時は口数が減る子だ、あまり追及しても可愛そうだし、この子なりの最大の愛情表現だと思うことにした。
「あ、そうだ、クライツさんからりんごもらったから剥いてよ、」
「あぁ、いいぞ」
シエルは急いで馬車に戻り自分のリュックから真っ赤なりんごを取り出した、オレは持っていたナイフで器用にリンゴを剥き、食べやすいように切ってあげる
シエルは喜んで食べた、俺も数切れもらったがホントに甘くうまいりんごだった、帰ったらどこで買ったりんごか聞いてみる事にしよう
「さて、そろそろ行くか、」
「うん、エポナ行こう!」
シエルがエポナに声をかけるとまた嬉しそうに鼻を鳴らしシエルについていった
本当に助かる
これからはこっちから仕事について来るように誘うかと考えたがやめといた、シエルがいると退屈な仕事も楽しくなるがどうしても仕事に集中できない、その上少し特殊な仕事もある時があるからあまり連れ回せない、
「お父さん、エポナ馬車まで連れてきたよ、」
「おぉ、ありがとう」
エポナを馬車に繋ぎ、エポナの脚に取り付けられた
「シエル乗れるか?」
「う~ん、ちょっと難しい」
今回の馬車は少し高めになっていて大人でも登るのが少しキツイそんなのを6歳の子供にさせるのは酷な事だ、しかもシエルは他の同年代の子供に比べて一回り小さいので余計に難しいだろ、俺はシエルを抱っこし隣に座らせた。
「おぉ、高いね!」
シエルは目を輝かせて前の景色を見つめてる
「今日は少し高めの馬車だからな眺めがいいんだろ」
「へぇ、馬車の種類が変わるだけでこんなに景色が変わるんだね」
「さてと、そろそろ出るけど、準備はいいか?」
「うん、エポナも頑張ってね!」
エポナはシエルの言葉に返事をするかのように
山道は今の時点で半分ほど進んだ所だ、ここを抜けたら目的地の村はすぐだった。今度は石にぶつからないように慎重に進むことにした。
馬車を走らせること1時間、もうじきに山道を抜ける頃だ、馬車を走らせてる間シエルは俺に寄りかかりながら本を読んでいたタイトルは【魔石の仕組みについて】、この本は12歳ぐらいの子が学ぶ魔法学の本であった、また難しい本を読んでるなと思いながら運転に集中した。
すると嫌な気配を感じ馬車を急停車させた。
馬車を急停止させた事に驚いたのかシエルが小さな悲鳴をあげた、急の事態に驚いてるのだろう?
「お父さん、どうしたの?」
「シエル、少し馬車の中に隠れといてくれるか?」
シエルに馬車に隠れるように指示を出した、何かを察したのか大人しく言う事を聞いてくれた、オレは馬車から降りて馬車の前に立った、
「出てこい、いるのは分かってるんだ。」
オレは山道の端の茂みに向かって強圧的な声で叫んだ、すると茂みの中からわらわらと人が現れる、数にして8-10人程だ、旅の人や通行人にしては剣や弓などの物騒な物を持っている
相手の正体は盗賊だった
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