第1話 プロローグ
(山神あきらの視点)
俺は山神あきら。大学3年生。俺には最近できた彼女がいる。松本ナツミという名前で同じ大学3年生。彼女とはサークルが同じでそこで仲良くなって付き合った。今日は付き合ったことを同じサークルの友達に伝えるために友達と食堂に集まった。
「ついに!ナツミと付き合うことになりました〜!」
「まじ!?やっぱお前ら合うと思ってたんだよ」
「おめでとう!」
「ありがとう!めちゃくちゃ大事にします!!」
本当に本当に嬉しかった。俺は陰キャで大抵の人と仲良くなるのに時間がかかる。そんな俺でも話してて疲れないし趣味も合う。こんな人、もう二度と出会えないと思う。だから絶対別れたくなかったし手放したくないと思った。そう思ったのには過去のある出来事が原因である。
その出来事とは高校1年生の時と高校3年生の時にそれぞれ1回ずつ好きな子に振られた後、裏で「気持ち悪い」と罵られたり「あんな陰キャと付き合うわけないじゃん」と聞こえるような声で言われたことである。その出来事のせいで女性に関して少しトラウマになっていた。
また、母親から「大学生にもなってまだ彼女できたことないの!?」と嘲笑されていたことも原因だ。
そのようなこともあり、自分を好きになってくれる人は本当にいるのだろうかと思いつつ、いつか絶対彼女を作って見返してやる!という反骨心も同時に持っていた。
だからといって誰でも良かったわけではない。本当にこの人と付き合ったら楽しいだろうな、話も合うし続けていけそうだなと本気で思って付き合った。
ナツミの方も「友達期間が長かったから徐々に恋人っぽくなれたらいいな」と言ってくれていた。
俺も焦るつもりもないし、ゆっくり少しずつ良い関係が築けていけたらいいなと思う。
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夜。バイト先の後輩、中村カノンからラインがきた。
「あきらさん!今度ご飯一緒にどうですか?」
(ん、これはどういう意味だ、?誘ってる?俺に気があって!?いや、まさか。ただの先輩後輩の関係だし。でもカノンのこと、めっちゃ面倒見てたし一緒に帰ることも多かったんだよな…)
(もしこれで変な誤解生んでナツミと別れるってなったら本当に嫌だし、、俺、この後輩と二人きりで話続けられる自信ないし)
そんなことを色々考えながら
「お!いいね!ただ今月の予定まだ分からないんだよね。予定分かったら連絡するね!」
と返した。
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(ナツミとの付き合ってから初デートの帰り道。)
今日は二人きりで原宿の犬カフェに行ってプリクラを取ってクレープを食べて…などデートっぽいことをやり尽くして遊んだ。しかし、一度も手を繋がなかった。緊張しすぎて自然に繋ぐことができなかった。
(やばい。このままだと友達の時と何も変わらないじゃん。流石に手は繋いでおかないと…)
そう思って信号待ちの時、咄嗟にナツミの右手をつかんだ。つかんだ瞬間、緊張しすぎて声が出なくなった。ナツミもしばらくこっちを無言で見つめていたが信号が青になったため、二人は歩き出した。
その夜。ナツミから連絡がきた。
「今日はありがとう!本当に楽しかった!手繋ぐのぎこちなさすぎたよね笑 でも嬉しかったよ。」
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