タスク消化7


 あらかた大きいものは片づけた。終わりのメドがついた。


 どれだけ状況が地獄であろうと、この瞬間はそれなりに楽しくなる。

 補正ではない本心からの楽しさだ。

 俺はきっとタスク消化に向いているのだろう。


 一六時間の労働のあいだ、三分間で一五〇のタスクが繰り返される。

 ラウンドは三二〇まで続き、消化するタスク数は四八〇〇〇にもなる。これが無休で延々と続く。

 残りの八時間は労働時間に比べればタスクの数は減るが、それでも不意打ちのように振られる。きちんと期限が切られているものは、何時いつであっても対応しなければならない。


 効率化し、改善を繰り返す。終わりのない作業を繰り返す。

 疑問を抱くことなんて許されていない。抱いた瞬間にハサミだ。

 繰り返すことで成長する。人間は経験を積むことで成長する。


 どこへ。

 どこへ成長するのだろう。

 成長して何になるというのか。


 より多くのタスクを消化することが出来るようになる。それだけだ。


 それ以上何を求めるというのか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る